凛太朗

クワイエット・プレイスの凛太朗のレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
3.6
どうやらメキシコに隕石が衝突したらしい。そのついでに目は見えないが聴覚が異常に発達している凶暴なクリーチャーが地球に襲来したようで、世界中の人々は捕食され壊滅状態。
そんな世界でなんとか生き延びているアボット一家は、聴覚が鋭いクリーチャーに発見されないように音を立てず生き残ることができるのだろうか?

っていう、音ダメ!絶対!的な映画でございます。オリジナリティに溢れているような気もするし、でもホラーって割とそういうシチュエーションになるよねとも思うし。
ありがちな伏線が張られて、それ後で絶対にやらかすやつですやん?ってわかっててもハラハラしたりしました。幽霊やら怪物による表面上のホラー的怖さとはまた違うんですけどね。
それよりも、これもベタと言えばベタなやり方だなと思うんだけれど、家族愛、子供を守りたいという強い想いだったりに父親目線で半泣きにさせられました。

正直ツッコミどころ満載だし、恐怖心や不安感を煽るだけだったり場を盛り上げるためだけの余計なBGMはいらねーんじゃねーか?とか、耳が聞こえないなら聞こえないなりの演出方法があったんじゃねーかとか思いましたね。

エミリー・ブラントが演じる妻であり母のイヴリンが妊娠。クリーチャーが襲来して400何十日目だか。ってことは仕込んだのは既に危機的状況に陥ってからのことで、音を出さずに妊娠&出産は危険すぎる。何してんの?って話なんですけど、これに関しては、今後子供が産まれない=種の繁栄ができない=人類は滅びてしまうわけですが、耳が聞こえない娘リーガンのことを思って補聴器を開発し続けたりだとか、危険を冒してでもあれしたりこれしたりだとかする父のリーですけど、イヴリンを妊娠させたことも含めて家族を愛するが故の行動原理であることは勿論ですが、あらゆる可能性を信じてのことだと思うんですよね。
リーガンの耳となる補聴器が作れるかもしれないし、いつかクリーチャーに打ち勝つ時が来るかもしれない。
絶望的な状況に本当に絶望してしまうより、常に愛と生きることの希望を持って、神様も可能性も信じている。食事シーンから分かるように、彼らはあからさまにクリスチャンですからね。
そういうのもあって、ホラー的に怖いというより、ヒューマニティの面でいいなぁと思いました。

結局あのクリーチャーはなんだったのか?盲目で聴覚が異常に発達している。
メディアなりSNSなり或いは国を挙げて発信されることを光の速さでキャッチして盲目的に信じ込んで(信じ込まされて)しまっている現代社会人の縮図かな。NOということも大切だよと。
凛太朗

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