鬼ごっこ、30年間継続中。
大人になっても毎年5月の間だけは本気で鬼ごっこを続けるおっさん5人。
「お前が鬼」そう言いたいがためだけに大の大人が走り回り、不意打ち、先回り、変装、偽装、ありとあらゆる手を使う。
5人中1人、子供のころから1回も鬼になったことのないあいつを意地でも鬼にするために、4人が奮起する。
めちゃくちゃ面白そう、映画らしい最高の設定だなと思って観てみた。よかった。
大人になるってどういうこと?
「老いて遊びをやめるな、やめるから老いる」という言葉とともに、おじさんたちが暴れ回る。
くだらないことだらけだけど、仲の良いおっさん達のドタバタ劇を観ているのは面白くて幸せな気持ちになったし、憧れた。
この5人の周りの大人たちも、くだらない大人気ないと冷ややかな目で距離を置くのではなく、ある程度の理解を持って見守っているのがなんとも温かかった。
この5人を軽蔑したり侮蔑する人物がほぼ描かれないから、素直に楽しそうと憧れることができた。
なんといっても最後のシーンこそが一番愉快で、走り回りながらエンディングを迎えたときは温かい気持ちに包まれた。
見終わってからちょっと調べてこれが実話を元にしているということに驚愕した。
実際にワシントン州のおっさん10人で毎年2月と決めて28年間やっていたんだと。
エンドロールで流れた作中の人物とは違う画質の荒い映像が実際の映像なんだって。
このおっさんたちのことを新聞社が記事にしたのがきっかけで映画化したとか。
それで映画の中にも記者がいたのか。
映画の中では周りのことなんかお構いなしに暴れまくっているけど、きっと本当はもうちょっと節度あったんじゃないかなということがエンドロール前の映像で見て取れる。
鬼ごっこに一番情熱を傾けていたおっさんは病床に伏しながら言う。
「鬼ごっこは逃げるためのものじゃなくて、みんなで会う口実なんだ」
その割に一番ぶっ飛んでるし、会う口実なら結婚式はちゃめちゃにするなよ、とか思ったけど、
ただただみんなのことが一番好きで、そんなみんなに会える鬼ごっこが大好きだっただけなのかもな。
鬼ごっこ最強のおっさん役のジェレミーレナーはこの撮影で両腕骨折したらしい。
泣く子も黙るホークアイがまさか鬼ごっこで骨折しているとは。
映画は擬似体験、自分の鏡だと捉えるならば、最高のおっさん鬼ごっこシミュレーションだった。
いつまでも童心忘れないようにしつつ、分別のある爽やかな大人になりたいと思った。