ノラネコの呑んで観るシネマ

ALONE アローンのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ALONE アローン(2016年製作の映画)
4.1
砂漠の真ん中の地雷原で対人地雷を踏んでしまい、一歩も動けなくなってしまう米軍スナイパーの話。
救助が来るのは52時間後。
それまで彼は、灼熱の砂漠で一睡もすることなく、同じ姿勢で耐え抜かねばならない。
ワンシチュエーションを上手く生かした、戦争寓話。
前半は喉の渇きや砂嵐、動物の襲撃、遠くに落ちてる無線をどう手繰り寄せるかといった現実的な問題への対処。
後半になると疲労困ぱい、極限状況に追い詰められた主人公を幻覚が襲い、彼の秘められた心の傷があらわとなり、スピリチュアルな心象劇として展開する。
主人公にとって、地雷は恐怖の象徴であり、恐怖は彼を過去の傷に縛りつけ、前に進ませないもの。
主人公のメンターとなるベルベル人のおじさんのキャラクターが、ファンタジー映画の魔法使いの様な役割。
終盤やや引っ張りすぎのきらいもあるが、なかなかにユニークな佳作。