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四月の永い夢のmのレビュー・感想・評価

四月の永い夢(2017年製作の映画)
4.5
初めて朝倉あきを認識したのは横道世之介の阿久津唯で、めちゃくちゃ可愛い!!と思ったのを思い出す。目に注目するあのシーンのおかげでまんまるのぱっちりした目の印象。
大学生役だったあの時は本当に大学生ぐらいの年齢だったのか…と思いつつ、この作品では大人の表情も見られた。

朝倉あき見たさと作品の雰囲気が自分好みっぽいから見に行ったらめちゃくちゃ好きな作品になった。
初海が立ち尽くしている背景の桜、初海の部屋、国立の町の雰囲気、銭湯、喫茶店。工場で手ぬぐいを見上げて寝そべったり、田舎に向かう電車に揺られたり…好きな画が随所にあった。
そしてある意味この作品の鍵でもあるラジオ。
ラジオつけっぱなしで寝て朝目覚めると朝の番組の人が喋ってる感じ、そうそうこの感じ…と思ったし、同じ音楽でも音楽だけで聞くのとラジオから聞くのとでは違って聞こえるというのも本当に分かる!!
そして、見えなくても同じ時間を共有している(かもしれない)リスナーに思いを馳せる楽しみ。
ラジオの話ではないし、物語的には主人公の趣味でしかないのだけど、ラジオを少しでも好んで聞いたことがある人ならこれはたまらない場面があったのではないだろうか…

だからこその最後のシーン、初海のあの表情、、一気に持っていかれてしまった。

忘れられない人や物事に引っ張られてなかなか前に進めないこと、側から見れば無駄な時間のようにも思えるけど、たいていのことは時間が経てば少しずつ忘れたり受け入れたりできてしまうもので、そんな自分に気づいて少し寂しくなって、そうして前に進んでいくもの。
花火大会の帰り道に「書を持ち僕は旅に出る」(名曲すぎ)を聞きながらウキウキして、ふと立ち止まるシーンは、亡くなった恋人のことを忘れかけている自分に気づいた初海のそんな感情を見事に表していたと思う。

あんな初海でもきっといつまでも過去を引きずってはいないから、引きずっているうちはそれも大切な時間。
きっと幸せになれると思う。
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