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四月の永い夢のJINのレビュー・感想・評価

四月の永い夢(2017年製作の映画)
3.8
朝倉あき演じるヒロインの初海が、序盤で高橋留美子の漫画『めぞん一刻』を読んでいたので、これってどうゆう意味があるのだろう?と考えた。
そうだ、めぞんは亡くなった旦那の惣一郎さんにずっと操を立てていた音無響子さんが、新たな人生、恋愛を踏み出す話でもあった。
『四月の永い夢』と『めぞん一刻』には共通のテーマがあると気付いたら、俄然この作品に興味をそそられることができた。
身近な人の死というのは、時に己の中の時間を止めてしまうきっかけになってしまうことがある。
人生において次の季節がやってこない感覚というのは自分も少なからず共感できる。
生きていくということは、若い時は何かを獲得していくものだと思ってたけど、年を重ねていくと、実は何かを失っていくことなのだと感じるといった主旨の言葉が劇中で語られていた。
どうなんだろう?
よく人生という山を登るのは、荷物を少しずつ下ろしていくことだなんてことを耳にしたものだけれども。
こうゆう感覚というのも人それぞれ違うものなのではないだろうか?
また人生のある時期によってその都度考え方も変わっていくのかもしれない。
そういったことを、登場人物それぞれに当てはめながら、人と人との出逢いのタイミングだったり、「縁」といったものを考えてみると感慨深いものがある。

言葉まかせではなく、映像で心情を見せてくれるので映画らしい映画を観てるなあと感じた。
朝倉あきの声と話し方とテンポ感にホッと安らげるものがあって、ずっと心地よかった。
イイ映画だった。


余談やけど、旅先で映画を観るのも好きで、特にミニシアターの雰囲気は独特なので味わい深い。
この映画は名古屋の伏見ミリオン座で観てきた。
ミニシアターの雰囲気に合う映画やったなあ。
スクリーンが予想以上に大きかったのも良かった。
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