砂米

四月の永い夢の砂米のネタバレレビュー・内容・結末

四月の永い夢(2017年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

タイトルに惹かれました。
最近は洋画とアニメ映画ばかりだったけど、こういうひっそりとした邦画が一番好きだったことを思い出しました。
近親者の不幸だったり、孤独感や仕事のことなど思い巡らせた。

主人公(朝倉あきさん)の喋り方がゆっくりと語りかける話し方で素敵です。語尾が優しい。
ですが、実際にこのような話し方をする人はあまりいないので慣れるまで少し違和感もありました。他の登場人物も、選ぶ語彙や言い回しが中々に古風です。
美しい映像とあいまってどこか昔の日本な感じもします。今の現代社会が舞台なんだけど、どこか浮世離れしていて、そこが独特でした。
これを良さと思うか心地悪いと思うかは人それぞれだと思います。
かえでちゃんと教師の親友が、数少ない現実感のある人間でした。
かえでちゃん役を演じた川崎ゆり子さんが各場面で見せる顔が変わっていて印象的でした。不思議な顔だと思います。こういう役者を好きになりがち。
主人公に全員が甘くないのも良いです。親友が結構ピシャリとしてて笑。楓ちゃんも口が軽いのは困り者だけど、この物語には必要な役回りだった。

主人公もいろんな一面があって、たまに同一人物とは思えない魅力がありました。
ふとした横顔が綺麗だったり、かえでちゃんを助けた時は毅然として強く格好良かったり。教師をしていたという設定に厚みが出ていました。
銭湯とか浴衣姿など可愛かったです。
かぐや姫の声も良いなと思っていましたが、本当に素敵な声と抑揚だと思います。
むしろこの子にラジオやってほしいですよね。
ラジオで締めるのも収まりが良いし2人の将来が見えるような前向きなラストでした。
欲のない浮遊感のある憂いを帯びた主人公と少しのファンタジーさが、ちょっと百万円と苦虫女を思い出しました。
日本の美しい映像も盛りだくさん。特に手ぬぐいが一面のシーン。富山の景色も綺麗。


亡くなった元恋人の彼、最初は素朴で人の良さそうなイメージだったのが、そうでもないぞ…とだんだん分かってきてどんな人だったのか凄く気になりました。あの手紙の意味をちゃんと知りたいです。あれだと病気の類というより、犯罪で捕まる前の切迫感があった気がしたのですが笑
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