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ハンターキラー 潜航せよのフライのレビュー・感想・評価

ハンターキラー 潜航せよ(2018年製作の映画)
4.1
終始緊張感のある潜水艦アクションスリラー映画。
一歩間違えば第三次世界大戦になりかねない状況を阻止する為、海底と地上でヤバすぎる2つの作戦が同時進行して行く中、全く気が休まらないストーリーは、これ迄の作品には無い視点で描かれているのでかなり楽しめた。

ロシア近海バレンツ海において、アメリカ原潜が密かに追っていたロシア原潜が、突然何者かにより破壊沈没させられると、アメリカ原潜も魚雷により沈没させられてしまう。
アメリカ政府は、何が起こっているかわからず原因究明の為、アメリカの攻撃型原潜であるハンターキラーに、エリート艦長では無く、ジェラルド・バトラーが演じる叩き上げの艦長ジョー・グラスを乗艦させ確認に。同時に不審な動きをみせるロシア海軍基地で何が起きているのか調べる為、現地に4人の特殊部隊を派遣。
バレンツ海に着いたジョー・グラス艦長が見たのは、魚雷で破壊されたアメリカ潜水艦だったのだが、ロシア潜水艦は内部から破壊された跡を確認し、衝撃を受けると同時に、中には生存者が。一方ロシア海軍基地に派遣された特殊部隊が見たのはそれ以上の衝撃的な光景に、アメリカ政府は色めきたつ事に。

潜水艦映画特有の息苦しさを覚える展開に、たまらなく面白さを感じる作品だが、そこに畳み掛けるように展開する色々な危機が、場の雰囲気を張りつめさせ、見ていて終始楽しめる作品だった。特にこれ迄の色々な作品で見るロシアとアメリカの対立構造を描いた作品とは一味違うストーリーに、ロシア悪と言う視点では無い所に好感を抱いたし、気持ち良く感情移入しながら鑑賞でき、観ていて清々しさすら覚えた。
これ迄の潜水艦アクション映画とは違い、特殊部隊とのストーリーの連携に面白さを感じたが、そこにキャスティングの素晴らしさも重なり一層深みを増し楽しめたのは最高だった。特にジェラルド・バトラーの艦長は、堂に入って良かったし、体を張った作品とは違い、実直な演技に素晴らしさを感じた。因みに「相変わらず大統領救うのか」と変な所がツボにハマり内心笑ってしまった。

これ迄見てきた色々な潜水艦映画は、潜水艦と言う密室の中で展開される人間模様と、どよっとした陰湿さすら覚える雰囲気と閉塞感に魅力と面白さを感じたが、本作には当然海底と言う目視出来ない怖さや、密室の息苦しい緊張感はあるが、乗員の団結や、ロシア側の正義にも粋な展開があり、これ迄の作品とは違った面白さと、緊張感の中に、爽やかさすら覚えたのは、とても好感が持てた映画だった。
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