140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ハンターキラー 潜航せよの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

ハンターキラー 潜航せよ(2018年製作の映画)
3.7
【男気人情船乗り活劇】

「ワイルドスピードのスタッフが贈る!」
という謳い文句を見れば
「レッドオクトーバーを追え」
「眼下の敵」
「クリムゾンタイド」
のような硬派な潜水艦アクションではなく
さらにジェラルド・バトラー主演とあらば
「エンドオブホワイトハウス」
のような質感であることは予想がつく。

硬派な、もしくは本格的潜水艦アクションを望むのならば、首を縦に振りにくい作品ではあるが、よく言われる「潜水艦映画にハズレなし」という格言に対しては間違っていない作品である。

それは、本作が男臭くて人情に尖った映画だからだ。予告の謳い文句はいったん忘れて、男気映画として、この狭く、深く、孤独と恐怖の世界である海の底のバトルアクションと見れば、彼らしか味わっていないであろう現世から取り残されたような密室で生き残るために助け合い、命を削る旅に身を置く者のヒートが炙り出される。「昨日の敵は今日の友」を地で行くようなアメリカ×ロシアのナショナリズムを越えた海の底の共闘や、クライマックスの専守防衛に基づいた、攻撃すればより窮地に陥り、身を守らねば死あるのみの危機的状況を乗り越る鍵に、上記の男気や人情が担われるシーンは社会という戦地でサラリーマン兵士として生きている我々には、温かいスープのように胸に流れ込む高揚感に変わるのだと思う。潜水艦だけの密室劇とせずに、陸上部隊の潜入ミッションの職人×新入りの関係性の燃える要素も、保険として加えられた項目であったとしても、リアル戦争モノよりも男気人情のファンタジーによった本作であれば、加点方式で胸に来るものは間違いなくあると思う。理想の好敵手、理想の上司モノとしては、作品の自力以上の効果はしっかり熱伝導される作品。