【2020年155本目】
世界は屋上で見渡せた
オルタナとは、どちらかを選ぶべき、二者択一、代わりとなるもの、と言った意味である。
今作のオルタナという意味は、オリジナル版とは異なった相反する答え。
大人ぶることをやめたナオ太に対して、カナは子供のままでいることを現時点で選択したのだろう。
似て非なる選択が絶妙。
自分が変わらなければ、変わってしまう時代の流れにはついていけず、変わってしまう人々がいる。
だからこそ、変わらなければならないのか。
否、違う。
ショッピングモールがメディカルメカニカというのも、面白い設定だった。
おそらく、カナが好きなあの田舎町は今後なくなってしまうだろう。
温かみのある商店街は、大型のショッピングモールに潰されて、錆びれてしまうだろう。
カナの働いていた蕎麦屋もなくなる。
ペッツに続いて、ヒジリーももっさんもそれぞれの夢に向かってこの街を出て行くだろう。
それでも、過去の青春は消えない。
会えなくなってしまっても、最悪な別れ方でも、過去は消せない。
自分が犯してしまった失敗も含めて、思い出にしていいんだ、と言われているような気がした。
みんなが生きている限り、消えない青春、消せない青春。
ねじ曲がった時代なんて関係ない 僕らは出会った
誰もが忘れても 僕は忘れたりしないぜ
the pillowsのplease mr.lost manやfool on the planetを感じさせる、またまた尖った一作でした。