ハリボ

劇場版 フリクリ オルタナのハリボのレビュー・感想・評価

劇場版 フリクリ オルタナ(2018年製作の映画)
3.9
【2020年155本目】

世界は屋上で見渡せた

オルタナとは、どちらかを選ぶべき、二者択一、代わりとなるもの、と言った意味である。

今作のオルタナという意味は、オリジナル版とは異なった相反する答え。
大人ぶることをやめたナオ太に対して、カナは子供のままでいることを現時点で選択したのだろう。
似て非なる選択が絶妙。

自分が変わらなければ、変わってしまう時代の流れにはついていけず、変わってしまう人々がいる。
だからこそ、変わらなければならないのか。
否、違う。

ショッピングモールがメディカルメカニカというのも、面白い設定だった。
おそらく、カナが好きなあの田舎町は今後なくなってしまうだろう。
温かみのある商店街は、大型のショッピングモールに潰されて、錆びれてしまうだろう。
カナの働いていた蕎麦屋もなくなる。
ペッツに続いて、ヒジリーももっさんもそれぞれの夢に向かってこの街を出て行くだろう。

それでも、過去の青春は消えない。
会えなくなってしまっても、最悪な別れ方でも、過去は消せない。
自分が犯してしまった失敗も含めて、思い出にしていいんだ、と言われているような気がした。
みんなが生きている限り、消えない青春、消せない青春。

ねじ曲がった時代なんて関係ない 僕らは出会った
誰もが忘れても 僕は忘れたりしないぜ
the pillowsのplease mr.lost manやfool on the planetを感じさせる、またまた尖った一作でした。
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