桜桃の味の作品情報・感想・評価

桜桃の味1997年製作の映画)

TA'M E GULIASS

製作国:

上映時間:98分

ジャンル:

4.0

「桜桃の味」に投稿された感想・評価

The cinema is death at work.
キアロスタミ監督の作品は
わたしの干からびた心に水を与えてくれる。
勢いのあるホースの放水ではなく
チョロチョロと滴るじょうろのように。

バゲリさんの言葉は、落ち込んだ人には
優しく切なく、とてつもなく沁みてくる。
だけど本気で死にたい人には、なんちゃぁ響かないだろう。
バディは結局、死ぬつもりなどなかったのだと思う。

最後の演出には、様々な意見があるようだけど
「はい、これは映画ですよ」と言われたようで
妙にほっとした自分がいた。
劇中の荒れた山と、緑あふれる山との対比も素晴らしい。

個人的すぎる余談だけども。
桑茶を飲みながら今作を見ていたらば、
まさか桑の実が物語のキーポイントになるとは…。
この偶然に胸が熱くなり、しみじみと茶をすすった。

このレビューはネタバレを含みます

睡眠薬をのんで穴の底に寝転がり、砂を掛けてくれる人を雇おうと奔走する話。

「考え方を変えればみえる世界が変わるはずだ」と二人目の男が言ったやつが、主題を最もわかりやすく示すうちの一つだったのではないだろうか。
アッシリア人、アラブ人、クルド人、イラン人、(あとトルコ人)、それぞれのそれ。それぞれのそれのなかのその人のそれ(またしても入れ子構造だ)。

なんだけれど、運転手はなんも見えてなくて、助けようとする他者の意図やそれぞれの信仰を理解しようとする気力もない。自殺しようと思ってるから。運転してて、前ばかりみているから。自分から聞き出しておきながら、何度も相手の生い立ちを聞きなおしたり、飲むと言ったお茶の支度ができる前に話が終わったとわかるなりさっさと出て行ったりする。更には「誰しも人の痛みはわからない、だから自分の話はしない」とか言うし。いやそうやけどさ〜大人やろ?

あと映ってるものといえばほとんどが、砂埃の中を走る車のウインドウガラスを背景に話している男の顔。その顔よりもみるべきは車窓なのだけど、それは舞い上がる砂塵に煙っている。というか、交互に話している男たちの顔にいつもピントが合っているので、車窓のベージュは土手の砂なのか砂埃なのかわからない。窓からみえる街並みも、シルエットと色彩しか認識することができない。

頑なに自殺の理由を他者に語ろうとしない運転手が、長らく続けられてきた宗教上の理由での戦争の暗喩だ(ということ?)
他者を諦め捨てて自分だけの宗教のために死ぬくせに、捨てようとしてる全く興味ないやつらに埋めてくれと頼む。めちゃかなしない?

終わり方、ひどくてめちゃくちゃずるい。セントジェームス病院。
yukorin

yukorinの感想・評価

2.3
なぜにもそんなに死にたいの?

なぜにもそんなに人に土をかけてもらいたいの?

実はそのストーリーじゃなくて
生と死に対するこの国の方々の思いを
伝えたいのか、、、

車が脱輪したら、
よってたかってあっという間に集まり
押して助けてくれたり

純粋な土かけは殺人と同じ
と、逃げ出す青年や

何があった?
何がそんなに死に向かわせる?
と説教してしまう老人や

土と埃だけですよ、、、と
言いつつも
全ては土に還り土から始まる、、、と
哲学的な会話をしたり

軍人は銃は持つのに
シャベルは持たないのか?
俺は桜桃の肥料になるのだ、
その肥料に土をかけられないのか?と。

つまらない映画に見えて(ゴメン笑)
戦争や生きること働くことを
どう思うのか、、、、
こちら側に質問されてる気がするなぁ、、、

そして宗教はあっても
人それぞれだと。

「人を手助けするときは
心を込めて手助けするものだ」✨✨



アッバス監督作品は
これであるもの全部見ました、、、!
心の深ーい所におさまりました✨
ドキュメンタリー映画学校好きな人にはオススメ
QRP

QRPの感想・評価

3.0
相変わらずロングショットは美しいものの、これと言って引っかかる箇所はなくスルッと最後までいってしまった。
最後のおじさんとの会話により自殺を思い留まることになるのだけど、はて、、そんな琴線にふれるような会話だったのだろうか。結局は字幕をひたすら読むだけになるからタクシーの中の会話劇にちょっと疲れる。原語を理解できればまた違うのかもしれないな。

2019年おうち16本目 シネフィルWOWWOW
kohei

koheiの感想・評価

4.1
どこを切り取ったってこの世界は美しい。今夜だけはそう信じて、眠らせて。
ツタヤにあったのでついに見た。

基本退屈。(それでも見る価値はある)

最後の男との会話が秀逸。

会話、というかネゴシエーション、というものは本来こういうものだ、というのを思い知らされた。

目の前に提示された表向きの課題に囚われず、根っこの本当の課題にダイレクトに向き合うべき。

カンヌという映画祭がなければ発掘されなかったであろう映画監督。
レビューサイトで書くことではないかもしれないが、自分にも真剣に自殺を考えていた時期があった。久しぶりに自分の求めていた映画に出会った気がする。自分の表現したいことを、この映画に言われてしまって少し悔しい気もするが、当時の自分にこの映画を見せたい。
terusuk

terusukの感想・評価

1.2
これは、久々に強烈に眠い作品。
自殺志願の男が車を走らせて三人の男に、その旨を伝える。
その間、乗せた相手とタラタラと話をする。

絵も変わらず、車内と俯瞰を繰り返すのみ。
演出もサービスも全くない。
中には印象的な台詞もあるにはあるが、何しろ退屈。
映画には作家性のみを追求するものもあるし、その姿勢は否定しないが、この作品からは何も感じなかった。
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