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フジコ・ヘミングの時間のtoshiのレビュー・感想・評価

フジコ・ヘミングの時間(2018年製作の映画)
5.0
素晴らしいドキュメンタリー映画に出逢いました。というか素晴らしい一人の女性に出逢えたというべきでしょうか。

私は音楽を聴くのもやるのも好きですが、クラッシックは得意ではありません。ましてやクラッシック音楽の演者の事なんて殆ど知識がありません。だから彼女のことも良く知りませんし、知らないからこそ彼女の実弟が昔から特撮作品でご活躍の大月ウルフさんと今作を観て知り、大変驚きました。

80も過ぎたご高齢にも関わらず世界を飛び回りピアニストとして今でもご活躍しているフジコ・ヘミングさん。今でも年間60本程のライブをやられているそうです。そんな彼女は世界を飛び回るので、色んな国にお家を所有されています。この複数のお家がどれも全て素晴らしい。彼女のセンスがどのお家にも詰め込まれています。そして必ず存在するのがピアノ。また猫や犬も沢山飼っていらっしゃいます。中でも犬のアンジンが滅茶苦茶可愛いです。そして猫のちょんちょんも・・・。

今作彼女の10代の頃に書いた絵日記を元に昔話を語りながら今を見せてくれるのですが、彼女は芸術の才能に満ち溢れた天才なのだと思いました。各お家の置物やパリのお家の台所など、一瞬しか映りませんが何とセンスの良いことと感心してしまいます。そして絵日記も10代の女の子が描く絵なので上手いわけではありませんが、日記の内容と文字から全体の出来が絵本みたいでとっても可愛らしいです。ご両親の話や実弟の大月ウルフさんの話も含めて今作だけで彼女の全てが分かるといっても良いかもしれません。

80を過ぎても、とってもチャーミングな彼女はどうしてこうも生き生きしておるのだろうと思ったのですが「中身は16歳だから」との事。「でも現実を思うとゾッとする」と・・・。全く同感ですw 歳を取って独り身だと尚更なんですよね。

彼女のピアノが沢山聴けるドキュメンタリーですが、ラ・カンパネラに対しての語りは音楽をやっている身としては共感しました。また彼女は恩師のおかげで楽譜通りというか機械的な演奏はしないそうです。だからこんなに自由に弾いている感じに聴けるのか!と納得。こういう音楽家大好きです。
日本に二人組のユニットで凄い方達がいらっしゃいますよね?洗濯洗剤みたいなユニット名です。そこのギタリストの方は世界でも有名なギタリストで、テクニックも正にこれぞプロと思っております。が、凄く丁寧で正確なんですよね。だからプロなんでしょうけどw プロだからこそあんなに難しいギターソロだって間違わず毎回正確に弾いていらっしゃるのですが、私はそんな正確なギタリストよりジミー・ペイジの様に一度弾いたギターソロは二度と弾けないギタリストの方が好きですw

彼女はミスタッチを多く指摘されるそうです。そんな彼女の語録に「私はミスタッチが多い。直そうとは思わない。批判する方が愚かしい」という言葉があるそうです。
ストーンズのキースが昔雑誌か何かのインタビューに答えた際、「チューニングが狂っていると指摘されるがそんなの日本人とかにでも言っておけ!」って言った事がありましす。「やっぱキースはロックだなぁ」とその時思ったのですけど、フジコさんの上記言葉にもとても熱いロック魂を感じました。

彼女のことも良く知らないしクラッシックも分からないから眠くなるかなぁ?と思ったのですが全く心配無用でアッという間の2時間でした。
ラストのラ・カンパネラは圧巻ですっ!!そして弾き終わりがカッコいい!!

【余談1】
劇中インタビューの中で、彼女と他の演者のラ・カンパネラを聴き比べて欲しいと言っていたので早速聴き比べてみました。今作をご覧になられたら是非聴き比べてみて下さい。上手いとか下手とかではありません。聴き比べると彼女がインタビューで語った事がもっと理解できます。

【余談2】
前記しましたがフジコさん実弟が大月ウルフさんだと知って大変驚きました。昔から特撮作品に沢山ご出演している大月ウルフさん。何か彼女の弟だと知ってちょっと嬉しくなりましたw

【余談3】
今作本日日曜の13時15分上映回をイクスピアリに観に行きましたが、2か月ほど前フロリダプロジェクトを観に行った際、シネマイクスピアリ斜め前にある新しくできたタコス屋さんが休日にも関わらず今日も相変わらず?微妙な繁盛ぶりでしたw そろそろ何かに気付いた方が良いと思いますw 
 
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