停滞

金子文子と朴烈/朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキストの停滞のレビュー・感想・評価

-
二人の獄中での闘いがメインですね。政治的論理が絡んでくるので映像で語られるというよりは人物が喋るシーンがかなり多かった、引きで会話を移すということもかなり少なく切り返しが多い。
闘いがメインなのはいいんだけどそうなると二人の結びつきがかなり希薄に感じられる。冒頭で金子文子が犬ころを読んでそれに惚れる、それは良い、ただ朴烈が金子文子を同士として信頼する演出があっただろうか。あの行動から推察することはできなくないが映画なら何か欲しい。それは朴烈に唐突に同居を申し込む金子文子に関しても言いたい。
とはいうものの逆に二人が同志として、その関係性だけで強く結びついていたことを描いたとも読み取れる。冒頭で二人が握手せず間に割り込まれるだとか留置所(?)の隣の部屋で背中合わせに分断されている、でありながら獄中で離された状態においては同期しているという。まぁどちらにしろ映像的だとは感じられなかった。
あと、これは金子文子の一人称として構成することもできたのではないかと思ったりした。「何が私をこうさせたか」の映画化みたいになりそうではあるけど。
停滞

停滞