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金子文子と朴烈/朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキストのmeikoのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

見てる間は圧倒されて泣くどころではなかった。でも映画館を出て歩いてたらほろほろ涙が出た。中学生のとき、ナチスに反対したゾフィーショルの映画を見たときは、死をもって訴えることの意味が分からなかった。生きてこそ言えることがあると思ってた。でも文子の「人間は動くから生きているのではない。意思をもって動くから生きている。自分の意思であれば、たとえ死刑に進んでもそれは生の否定ではない。」で、やっと理解した。それに文句を言う権利はない。自分のいのち、生き方は自分のもの。
でも、朝鮮人への熾烈な民族差別がなければ、ふたりはごく当たり前の幸せを手に入れて、いのちと引き換えに何かを訴えようなんて思いもしなかったはずで。そのことを思うと、日本人がした仕打ちのおぞましさ、罪深さに打ちのめされる。
このふたりは狂っているんじゃない。人を人として扱うという、当たり前のことを求め続けた結果、ふたりが選んだ道だった。
いろいろ言い始めればキリがないけど、見ていて辛かった。これを忘れようと、なかったことにしようとしている人々は本当にどうかしている。
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