honestaki

金子文子と朴烈/朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキストのhonestakiのレビュー・感想・評価

4.1
20世紀初頭大正から昭和にかけて、日本が暗闇に突き進む時代。
関東大震災後に起きた悍ましい朝鮮人狩り。
現代まで続く日本人の選民意識の根深さを思い知らされる。

虐殺事件隠蔽のためのスケープゴートとして選ばれた朴烈。
彼の若さが、言葉の強さが暗い社会に立つ光の柱になった。
社会の暗黒期にも、いや暗い世の中だからこそ権力に立ち向かう青春があった。
朝鮮人のヒーローでありながら帰国後は母国の政治に翻弄され、同じ民族の争いで死ぬ事になった不遇の人ではある。

暗く、難しい題材ながらこの作品はしっかりエンターテイメントとして成立している点が面白い。
結婚式さながらの裁判シーンは、コリアンではない私も愉快痛快拍手喝采!
これを日本人監督が描いたのなら、「社会派」に括られた重たい作品になっただろう。
韓国映画の骨の太いことよ。

韓国人が日本人を演じるようになった時代の変化と、役者陣の覚悟を感じる。
日本語訛りの朝鮮語を話す日本人を演じ切った韓国人のチェ・ヒソがとても良い。
また、司法分権の狭間で葛藤する立松懐清を演じたキム・ジュンハンの清廉さも印象的でした。
honestaki

honestaki