ペコリンゴ

サンキュー・スモーキングのペコリンゴのレビュー・感想・評価

サンキュー・スモーキング(2006年製作の映画)
3.6
記録。
口八丁で戦い抜くロビー活動。喫煙シーンゼロでも、毒のあるユーモアはニコチン以上にクセになる。

年々肩身の狭くなっていく喫煙者。
社会悪的な論調の中で減っていく喫煙スペース。このコロナ禍で更に閉鎖されていく憩いの場。そして度重なる値上げ。
税金払ってんだぞ!なんて子供じみた詭弁は空を切るばかりだ。

そんな我々にとって、煙草のパッケージを模したDVDのジャケ写は目を引くことこの上ない。中心でZippoを着火するアーロン・エッカートも素敵だ。

煙草研究所の広報部長であるニック(エッカート)のロビー活動を通して、他の誰でもない、自分で選択することの重要さを説く本作。

まずオープニングクレジットが最高にお洒落だ。「Smoke! Smoke! Smoke!」をBGMに、煙草の箱っぽいデザインにクレジットが乗る。個人的にはあのソール・バスにも引けを取らない秀逸なクレジットだと思う。

ニックの”あーいえばこういう”話術も小気味が良い。相手が役人だろうが息子の同級生の女の子だろうが容赦しない。巧みに論点をずらし、相手を丸め込む様は痛快だ。

ブラックユーモアを多分に含みつつ、そのメッセージは直球。タバコを奨励するわけでも否定するわけでもない。言ってみれば“吸いたきゃ吸えよ”だ。ただし責任と周りへの配慮を忘れてはならないのは言うまでもない。