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3D彼女 リアルガールのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3D彼女 リアルガール(2018年製作の映画)
5.0
【英勉監督がまたしてもホームラン】
TOHOシネマズフリーパス最後の作品は『3D彼女』にしました。前評判も良いようだし、タイトルに惹かれたからだ。そして、エンドロールまで知らなかったのだが、なんと青春キラキラ映画の鬼才英勉作品でした。どうりで凄いわけだ!

高校デビューに失敗し、陰日向にいるスクールカースト最下位にいるオタク(佐野勇斗)。かれは3次元を棄て、2次元に居場所を求めていた。硬い硬いATフィールドで身を守る彼を、中条あやみ扮する美少女・五十嵐色葉 が破壊し、「私のカレシになりなさい!」と言ってくる。「私の奴隷になりなさい」の間違いでは?と思いつつ、渋々付き合うことにする、、、

本作はかつて大根仁が『モテキ』できていたサブカルとエンタメの超融合を魅せてくれる。それでもって、『モテキ』最大の欠点である不細工なキャラクター配置を改善させた。

まず、秀逸なのは、徹底的にコミュ症オタクの生態系を分析しているところ。何故、彼は2次元に逃避するのか?何故早口なのか?オタクに女子をぶつけたらどうなるか?緻密に描く。それでもって、不器用、白馬の王子様度-5億%の位置から地道に成長し、最後にはこのコミュ症オタクがサイコーにカッコイイイケメン!白馬の王子様しか見えなくなる後光を帯びた存在へと導くのだ。

また、しきりにアニメのキャラクターが語りかける。「2次元はリセットがきくよ」「3次元は面倒なだけだよ」と。これは当然、オタクの心の声だ。逃げたくなる誘惑が包む中、如何にリアルラブの道へ進んでいくか。涙ぐましい苦悩に、世界は違うが映画オタクの私は泣けてきた。

そして、英勉はバツグンのコメディセンスで、笑いに包む。オタクに取ってデートは、ミッション。そのぎこちなさを魅力的に描き、一つ一つのギャグが本気で腹筋を崩壊させにかかる。また、恋の三角関係?いやいや、もっとハードに行こうぜ!と複雑怪奇な恋愛スパゲティを仕掛ける。そこには緊迫感がある。しかも、こんなギャグだらけの空間に、『ちはやふる』風の傑作館漂う音楽を仕掛けてくる。そう音楽担当は『ちはやふる』の横山克だった。

英勉監督は、やはり今最強のキラキラ青春映画監督だ。ブンブン大満足でした。
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