青

寝ても覚めてもの青のレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
3.8

"愛に逆らえない"

キャッチコピーに震えた
まさにその通りの映画だった

衝動の塊みたいな朝子が、ひどく恐ろしい
自分の不安を打ち明けず、現実を遠ざけて理想だけを追っていた亮平もまた、こわくて、そして虚しい

「やっぱ、待ってたんじゃん」という麦のその言葉がもう、朝子の真髄をついていて、背筋が凍った
朝子と麦の後ろ姿を睨み付けた亮平の顔が頭から離れない

わたしたちは、何をもって行動を起こすのだろう
人を好きになったり、または嫌いになったり、惹かれたり、とかいろいろ
考えても考えても、そこには理由も理屈も道理も、きっとない
だから朝子が麦の手を取ったのも、東北で踏み留まって、亮平のもとへ戻ろうとしたのも、理由なんてきっとない
朝子自身にしか、わからない

最後の川のシーン、
きれいだけど汚くって、汚いけどきれい
それがあって、相手の両方を知って、きっと人って、本当の意味で愛し合えるんだと、改めて認識させられる、心揺らぐシーンだった


あー、ほんとに、考え出したらキリがない、いろんな意味で頭が混乱する映画です、まいった


***

もう一度鑑賞して、すこしだけ、整理がついたような

淀んでる川、流れ行く川、夢と現実、寝ても覚めても、彼らは、愛のことを考えてる
ちゃんとすき、ってほんとにすきなんだ、って伝えるのってむずかしい


麦と亮平の散りばめられている対比のシーンがとても印象的
朝子の見つめ方とか、歩み寄る靴だけが映るシーン、ドライブシーン、とても、すきだと思った

ラストの川のシーンが、やはりわたしはすべてだと思う
青