とーるさんし

寝ても覚めてものとーるさんしのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
3.9
ショットの映画なのでいかにもシネフィルが大喜びしそうな、等と嫌味の一つも言いたくなるが、確かに面白い。

どうしてこうも不穏さを画面に漂わせる必要があるのかと思いつつ、話も同年代としては身につまされるもので始終冷や汗をかいた。あの女、絶対金返してないだろ。あと蓮實が褒めたロングショットがどこかは、観ればすぐ分かるものだったので安心した。

OPのカット割りが震災の際、路頭で再会する場面で反復される(歩み出す東出の足のカットが、唐田の足のカットになる)。ここだけでなく、他に少なくとも2か所同じカット割を意図的に反復している場面があった。

ベッドシーンが無い代わりにマッサージするシーンなどかなり時間を割いて描いてて苦心が窺える。唐田えりかが二の腕以上の素肌を見せることは終わり近くまでない禁欲性。恐らくラスト数ショット前の、タオルを受け取ってシャツを脱ぐショットのみ。「服を脱ぐ」という動作にも何か意味がありそうだが、それにしても妙に肉感的に映る。驚き、という意味ではここが一番感心したかな。
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