正面と真顔は等しくない。当然ながら人の顔に裏はない。
「寝ても覚めても」「きみの鳥はうたえる」に入りびたり候う。どっちがどっちのタイトルでもいいだろうなあってのと、タイトルに拘泥することしか残留がないってのもまたねえ、と思いながら時もまたすぎている。
「あなたが寝ていても、きみの鳥はうたっていたし、きみが目覚めたとしても、あなたの鳥は歌えるだろう。」
「きみが目覚めていても、あなたの鳥はうたうだろうし、あなたが寝ていたとしても、きみの鳥は歌い続けるだろう。」
新手のメーテルリンクかね、と思いながら、提起的な比喩をふくみこんだタイトルを配列する小遊びなど経つつ。意識=人間、なーんていう淡い確信を横滑りさせていくというか、そうなっちゃった感覚でしょうか。覚醒と眩暈は対立などではないし、人間と鳥は別の種族ではない、と独語として言い放つように。