さじ

寝ても覚めてものさじのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
3.0
主人公の朝子が怪物的なナルシシズムを体現したキャラクターで、我慢のならない胸糞悪さを感じた。
この気持ち悪さがでも、それがあまりにリアルに描かれているからだとしたら、二度目は笑いながら観られそう。
朝子の感情はよく分かる。心の内に制御できない獰猛な蛇のような激しいエゴイズムがあり、それゆえ、イケメンへ首ったけになったり、元カレに瓜二つな亮太と同棲したり、今や人気モデルの彼と恋人だったと女友達の前で発表したりする。普段は他人に興味がなくて寡黙なのに。
亮太にその秘密を打ち明けたとき大人対応だった亮太へ抱きついたシーンには呆れた溜息が出た。

ラストに河川敷で朝子が亮太を追いかけるシーンで、雲の影と晴れ間の境目が二人を追いかける描写では感動を覚えた。
朝子には『冷静と情熱のあいだ』のアオイや、映画『羅生門』の真砂を思い出した。
亮太の同僚である串橋くんだけは人間らしく親しみが持てた。
さじ

さじ