幕のリア

寝ても覚めてもの幕のリアのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.6
原作未読。
恋愛パート以外は改変されていたのか⁈

早々に唐田えりかを真正面から捉えるショットに恐れを感じる。
黒目が大きいからか、
定まらない演技が産む奇跡か、
美しい存在が見せる妖しさからか。

喪失と補填。
東北の復興祭を支援する二人。
のちに意外なようで間違いの無い言葉を向ける地元民。

悲しみをぶつけようの無い別れ。
運命的な出会い。
悪夢の再会。

奇しくも天災続きであった今年の夏から秋にかけて公開されたのは、終盤の奇跡のロングショット同様に、恐ろしき宿命に憑かれたようだ。

チェーホフも野鴨にも疎い。
それでも示唆されるものは見え隠れする。
劇場で災害に巻き込まれる東出君。
野鴨の看板をご丁寧に片す東出君。
電車は動いてないぞ!を素直に聞く東出君。
ヘタリ込む東出君。
そして…

挙げればキリがない名シーンの数々。

悲劇も喜劇も十人十色。
他人から見れば矮小な事であっても、当事者が運命や宿命と感じればそれが真となる。

パンフは買わず余韻を楽しみたい。

全てのキャスティングがここまで見事にハマった映画はなかなか無いと思う。

2018劇場鑑賞87本目
幕のリア

幕のリア