のび

寝ても覚めてもののびのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.5
TAMA CINEMA FORUM 2018で鑑賞しました。
最初の10分くらい見て、「あ、これ好きなやつ」と思った。カンヌに出品されるのも納得。良作であることは間違いない。

共感性がないという声を聞くけど、それだけで敬遠するのはもったいない。
これは映画芸術として優秀な作品。

好きな点は特に2つ。
1つは双子のメタファー。
写真展で示される双子。カフェのドアの正方形の窓。etc…
随所に現れる無駄のないカットが、ワクワク感というか、脳をかき回してきて、それが快感で仕方ないくらい。。
完全にぼくの趣味なんですけど…笑
特に双子出てくるのには弱い…
こういう緻密に計算された映画だからこそ、ストーリーに芯が通って、さらに見る人、見る時によって違った感覚を引き起こすのだと思う。

もう1つはリアルでリアルじゃないところがリアルなとこ。
東出くんが1人2役に挑戦する今作。
夢喰いバクと優しいリョウヘイ。相反する人物を自然にかつ情熱的に演じた東出くんはもう一流の俳優になった。

一見バクは夢のような不気味さのある人でリョウヘイは現実的な優しさMAXのお人好し。のように見えるけど、
実はバクの方が自分の気持ちに正直な自然な人物でリョウヘイは優しさのベールをまとった、ある意味嘘の仮面を被った人物。
これはトークショーでも言ってたね〜

アサコはこの2人に揺れ動くわけだけど、このことを考えると、アサコの共感性のない行動は、アサコにとって当然の、正当性のある行動だってことが分かってくる。

たしかに、アサコやバクに共感できなくて、
「なにこの映画??メンヘラ女の浮気性の、、うわ意味わからん!」って声もわかるし、こんなの現実にいたらキライになる笑

でもこれは映画。リアルじゃないからこそ、リアリティのある映画なんだと思うんだ!

アサコも流されてるわけじゃなくて、一貫性のある、自分に忠実な人物だと思う。

他にも、良いところはいっぱい。
脇を固める渡辺くん、関西人の親友(名前わからん)、瀬戸くん、山下リオ、田中美佐子、全部のキャラクターがこの映画を重厚にしているとことか。

tofubeatsの曲もこの映画と絶妙な共存を図ってて、素晴らしい

ただ一つ、最後のセリフは予想できちゃって、「いうな!それだけは!」と思ったんだけど、言われてしまった〜それだけは言って欲しくなかったー!笑
静寂の中、お腹が鳴ってしまって、ちょうどツッコミになったのはタイミングよかったのか、、


魅力的な映像とキャラクターの素晴らしさ。多面性のある映画だから、この映画を楽しめたし、心から拍手をしていた。


その後の東出くんのトークショーも素晴らしかった〜
こんなにも自分の俳優観、俳優魂を持っているエネルギッシュな俳優だとは知らなかった。
どんな作品にも真っ直ぐ向き合う俳優だからこそ、こんなにも魅力的な役を演じられるのだな〜
表彰式のスピーチで、「トークショーで話したことは全部忘れてください。」って言ってたのも、流石!!素晴らしい俳優だ!!と思った〜〜
一瞬でファンになりました😍




このレビューをかいて1年2ヶ月後……

え、なにこの騒動!東出…
なるほどこれは実体験をもとにしているから素直な演技、トークに繋がっていたのか
恐るべし俳優魂!
のび

のび