やかじょ

寝ても覚めてものやかじょのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.0
観てしばらく、寝ても覚めてもこの映画が頭から離れなかった。

私はラ・ラ・ランドが大好きで、総じて手に入らなかったものは美しいし強い派閥なんだけど、それを逆サイドから見るとこうなるのかという衝撃が最初の一歩。

それからずっと考えているのが、何が正解だったのかということ。
以下ネタバレあるので、まだ観てなくて楽しみたい人は読まないでください。


1.あの場でキッパリと麦の誘いを断り、亮平と生きていく。
倫理的に考えればこれが1番正しい。
正しいけど、これを選択したら絶対にずっと後悔しながら彼女は生きていく。
大人しいようで、時々強い意思で動く彼女はある時全てを残して亮平のもとからいなくなってしまうような気がする。

2.そもそも麦の車を見送らなければ良かった。
まぁ、ますますたらればだけど。
朝子は自信があった。
亮平のことをちゃんと好きで、将来のことも決めて、日々が幸せで、だからもしも麦に会おうとも揺らがない自信があった。
想定外だったのは自分以上に麦の気持ちが朝子にあったこと。
理由も分からないし、絶対帰ってくるっていうから未練がましく待っていて、でももう捨てられたんだって結論を出して、気持ちの整理をしたつもりだったのだから。
そもそも麦が朝子を捨ててなんかいない、ただあのパンを買いに行った延長であるということを麦に思い出させてしまった。
それが1つの事の発端であるように思う。
そしてもちろん、朝子は簡単に揺らぐし、もしもこの時行動を止めていたとしても一生心には麦がいたに違いない。
というか朝子にとっては断ち切るための1つの儀式のつもりだったのだし。

と、ここまで考えて、結局のところ朝子は麦と会って現実を捉え直すことでしか本当の意味で亮平の元には来られなかったのだと思う。
麦のいない生活が夢のようだと思っていたのに、どこかでそちらが夢で亮平との生活が現実変わっていてそれが認識できていなかった。
だからあの選択肢以外はなかったんだよなぁ、亮平に一途になるためには。
亮平はもう信じられないだろうけど、朝子は今度こそ自分のことを信じて亮平のことを好きでいられるんだろうなぁ。
それだとしても亮平の立ち位置は辛いな。

それにしても亮平が「朝子のそういうとこらが俺を頑張らせるんだよなぁ」的な発言が、うわぁそういうこと言わせる女になりたいなぁと思った。