途端に、夏の匂いに包まれた。
彼女が生きている時代が、
自分たちの生きた時代と重なる。
愛も生活も、何もかもが一瞬にして崩れ去る不安感のなかで、ただ大切なものを大切にしなければいけないだけなのに。
信頼を失ったふたりの生きていく「これから」は、これから続く日常と酷似している。
人生においてどこを「夢」とするかが、選択で道を変えるのだろうと、今までが夢だったという台詞で考えさせられる。
大切にしていたからといって、許したからといって、自分の手元に残る保証はないのに、愛してしまうのが愛なんだろうな。