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寝ても覚めてものYACCOのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
3.5
主演二人の騒動により、このタイミングでみるとどうしたってバイアスがかかってしまう今作。
濱口竜介監督の映画は「ハッピーアワー」についで鑑賞するのは2作目なのだが、正直「ハッピーアワー」の役者が本業ではない方の演技がどうも苦手だった上に、317分という長尺も手伝って、自分にとってはなんとなく苦手な監督になってしまっていたので、映画館では鑑賞せず、この度自宅鑑賞と相成った。

今作は、柴崎友香原作の小説の実写化ということで、「ハッピーアワー」とは異なる趣ではあるものの、濱口監督らしさはそのままだったように思う。
主演のおふたりの演技は、まあ、どうしたって騒動が頭をよぎるわけなのだが…それはさておき、「もしかしたらハッピーアワーの時も監督はこういう演技指導をしていたのか?」という疑問が頭をかすめ、これが自然さを演出しているのか、演技力の問題なのか…今作は主役の周りを固める共演者が演技を本職としている方が揃っていたためか、よくわからなくなってしまった自分がいた。
しかしながら、原作があるものを映画の尺でおさめてくれていたせいか、正直前作よりは見やすかった。原作は未読だったが、少し古臭いというか(出会いのシーンのスローモーションだったり、そこから恋に落ちる瞬間のみせ方など)、湿度高めの感じがすごく、この監督らしいと思った。
題材を変えても「らしさ」を出せるという監督は個人的に好みなので、次回作(某人気作家の小説の実写化があると聞いたのだが、どうなんだろう)も少し見てみたいと思った。

映画を見るのに余計なバイアスをかけてはいけないとわかっちゃいるものの…それがなければもう少し違う感想だったのもしれない。
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