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望郷のペンのレビュー・感想・評価

望郷(2017年製作の映画)
3.7
離島を舞台に、貫地谷しほり演じる夢都子と母親、大東駿介演じる航と父親の2組の親子の物語の2部構成となっています。

主人公2人の共通点は小学校時代の同級生ということだけ。それ以上でもそれ以下でもない。
2人のそれぞれの物語の回想シーンで同級生としてお互い登場するのですが、これが上手い。どちらかのエピソードの時は、一方は単なる同級生の一人でしかないんです。
表面的に見れば、夢都子は裕福なお嬢様。航も普通の明るい少年にしか見えないわけです。

誰も彼らの家庭に抱える問題や心の傷を知りません。そこにリアルを感じました。誰もが悩みや苦しみ、傷を抱えながらも笑顔を作り、毎日を過ごしている。生きるってそういうことなのだと思います。

彼らの物語は、どこにでもある話なのかもしれない。しかし、映画というものは、「ひとの人生を追体験するもの」だと私は思っています。

この映画が描こうとしたものは、すごく真っ当であり、正しいものであると感じました。

終始、暗さと切なさの漂う作品ですが、古きよき日本映画のような味わいのある作品です。
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