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さよならの朝に約束の花をかざろうのnagashingのレビュー・感想・評価

3.0
よかった。もしかしたら岡田麿里が仔犬のころから飼ってるペットを看取った体験がファンタジーに仮託されただけなのかもしれないが、日本のアニメ史的な文脈に引きよせれば、初号機という不滅の身体を得たまま宇宙を放浪する碇ユイの魂の物語とも読むことができる。
大人になれない「子」の青春ドラマにおいて、永続するモラトリアムの表象と装置として使い古されてきた「不老のネオテニー的な身体性」と「母(父)子相姦的な関係性」というモチーフが、これまたステレオタイプなハイ・ファンタジーの設定を経由し「母」の視点から語り直されることで、美しくも残酷な家族の形を提示するポテンシャルを発揮したことは、新鮮な驚きだった。
跳躍の反復と翼竜の運動の呼応、織り布と髪の毛の同期的な描写など、脚本家の初監督作品にしては、台詞だけに頼らずシンボリックに見せようとする姿勢がうかがえるのも好印象。演出面におけるバックアップ体制の異常な充実っぷりにはさすがに笑ったけど。