Inagaquilala

ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.8
リュック・ベッソンの原案、脚本、製作のアクションアドベンチャーということで、実にエンタテインメントとして良くできた作品となっている。とくに前半部分のバトル部分のショット切り替わりのリズム感の良さ、意外なアングルを挟む卓越したセンス、監督のスティーヴン・クォーレの手腕が冴え渡っている。後半、湖に沈んだナチスの金塊を引き上げるシーンになると、水中のシーンが多くなるためか、ややその快いリズム感も鈍くなっているのだが、とにかくつかみでもある戦車を使った逃走劇には、その迫力とアイディアが生かされた演出にとにかく驚かされた。戦車からの砲撃でタワーを倒して追っ手を阻むシーンや戦車ごと川のなかに飛び込む脱出場面はまさに予想もつかぬアクションだ。

舞台は1995年のサラエボ。平和維持軍として派遣されたネイビーシールズ(アメリカ海軍の特殊舞台)の面々が、湖の底、水深45メートルから27トンのナチスの金塊を8時間というタイムリミットで引き上げるという物語なのだが、数々のハードルをクリアしながら立ち向かうメンバーの息の合った作戦行動が見ものだ。もちろん、このミッションは正規のものではなく、平和維持軍の活動からは離れた彼らの独自の作戦で、そのあたりの状況も面白くつくられていて、なかなか考えられた脚本だ。ただ物語の終息部分が、案外と足早だったのが、やや意外で物足りなさも感じた。

「セッション」や「ラ・ラ・ランド」で渋い役を演じていたJ・K・シモンズが、この掟破りのネイビーシールズのメンバーを監督する上官役で出演しているが、かなりこの役柄も、最後カタルシスを生む、物語のポイントともなっている。ネイビーシールズを扱った作品は過去にもあったと思うが、こんな形で金塊を引き上げる物語をつくったリュック・ベッソンの着眼にも拍手したい。ネイビーシールズを扱った作品は過去にもたくさんあったが、これは着想からして面白く、このメンバーをフューチャーしてシリーズ化も可能だと思われる。彼らの新しいミッションは、ぜひ観てみたい。プロデューサーのリュック・ベッソンに期待する。
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