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アルファ 帰還(かえ)りし者たちのRのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2018年のアメリカの作品。

監督は「ポケットいっぱいの涙」のアルバート・ヒューズ。

あらすじ

旧石器時代のヨーロッパ。族長タウ(ヨハネス・ハイクル・ヨハンソン「ブラッドショット」)の狩猟の旅に同行していた息子のケダ(コディ・スミット=マクフィー「2067」)はステップバイソンを狩っている途中で崖下に転落してしまう。タウらはケダが死んだと思い、泣く泣く帰路に立つが、なんとか息を吹き返したケダは道中で助けたオオカミの「アルファ」と共に過酷な旅路を行く…。

Netflixにて。無作為に選んで。

観る前はアラスカかどっかのハンターの話かなぁ…と思っていたら、なんと旧石器時代(のヨーロッパ)のお話だった。

なるほど、じゃあなんだろ?ウホウホ言うんかなーと思ってたら、いや普通に喋るんかいっ!!

で、見るからに屈強そうな男たちの中に1人、明らかに頼りなさげな青年、それがコディ・スミット=マクフィー演じるケダ。

マクフィーといえば、クロエちゃんと共演した「僕とエリ」のリメイク「モールス」に主演してたあの男の子。あの頃はまだあどけなさが残ってたけど、立派に…いや、ひょろひょろじゃねーか笑

案の定、狩りでは役に立たず、それどころか、その優しい性格からかまともに生き物すら殺せない。なるほど、そういう役柄ね。

なんか、そのひょろひょろ具合と顔立ちと相まって、めっちゃ清水尋也に見えてくるw


で、あらすじの通り、バイソン共に崖から落ちて、死んだことにされてしまったケダは父親たち狩猟グループに置いてかれてしまう。

で、そこに襲いかかってきたのが、後の最愛の相棒となるオオカミのアルファ。

はじめはまさに野生度100パーで牙剥き出しで襲いかかってくるんだけど、ケダの必死の一撃によって、斬傷を喰らってしまう。

で、ケダはほっとくと思いきや、助けちゃうんだよなぁ、優しいから。

ケダの必死の看病にも関わらず、はじめのうちは襲いかかった頃と同じように敵対心剥き出しのアルファなんだけど、徐々にケダとも絆が芽生えていく過程が可愛すぎる。

はじめはお手製の猿轡を噛まないように嵌められてるんだけど、猿轡のまんまおねんねしてる姿とか、その猿轡を外されて、まだ警戒しているのか険しい顔で、でもお水ペロペロしてる姿とか、ようやく行動を共にするようになって、初めての狩りでケダがずっこけてしくった時の「何してんねん、お前。」みたいな呆れ顔とか…おまけになつき度MAXの時は一緒に湖?で泳いでいる時の足バタバタしてるところとか…!!

もう挙げるとキリないくらいアルファの可愛い場面が目白押し!お話できない分、作り手もアルファの感情面をわかりやすく演出している部分も、より感情移入させてくれる。

だからこそ、旅路の中で群れの狼に出会って大ピンチ…の場面とか、ハイエナに襲われそうになって、寒波の中を突っ切るところとか、その後の豹?みたいな大型獣と死闘を繰り広げるところとか、もうこっちは完全にアルファの飼い主みたいな気持ちになってるから死なないかヒヤヒヤもんでしたよ。

アルファのことばっか書いちゃったけど、ケダもケダで元々のインテリ気質と技能は叩き込まれたから、意外とサバイバルできちゃってて、なんとこの時代でその発想あったんかなマゴットセラピー(ウジ虫をあえて這わせて腐った部分を食べさせる療法)なんかやっちゃっててすごい。

あと、はじめは何も殺せなかったのに、アルファとの出会いを通して、徐々にハンターとして成長していく過程も丁寧で良かったと思う。

後半、近付きつつあった、冬の訪れに直面し、まるでロードオブザリングに出てきそうな広大な雪山の中で遂に精魂尽き果てて倒れる1人と1匹、まるで「フランダースの犬」的な「もう、疲れたよ、パトラッシュ…。」的な場面が出た時は、あぁ、ここまでか…と思ったけど、そっから父親の言葉を思い出して奮い立つケダ!

もう、この場面はよっしゃ〜!!頑張れ〜!!と応援せずにはいられないっ!!

結構でかい瀕死状態のアルファを担いでようやく一族の集落にたどり着いた時はようやったね〜とまじで胸を撫で下ろしたよ。

ただ、ケダはなんとか無事なことがわかって、アルファは?アルファは無事なの…??と焦っていると長老的なばあちゃんが何やらアルファの下半身をゴソゴソと…。

取り出したるは、子、子狼??

いや、アルファ女の子だったんかいっ!!

しかも、妊娠しとったんかいっ!!

しかも、出産して結構けろっとしてるし、産まれたの1匹じゃなくて結構たくさん産まれてるし笑。

いや、生きてて安心したんだけど、それ以上の衝撃がデカすぎてウケた。あぁ、たしかに途中で群れ狼のリーダーといい感じだったなぁ。

そんな感じで最後はなんか意外性ある結末だったけど、その後、無事回復した1人と1匹が子狼を朝日をバックに抱えるショットとか、それ以上に他のみなさんが描かれている通り、陽が沈みゆく背景をバックにシルエットだけで、その後一族のリーダーとなったケダとアルファが立派に成長した子どもたちや仲間と共に歩き出すカットのあまりにもカッコいいカットよ…いや、痺れるなぁ…。

結局、ケダのあの時の「殺さない」という選択肢が一族それ自体の未来すら変えたっていう結末にグッとくる。

いや、全くノーマークの作品だったけど、人と獣の関係性の築きをめちゃくちゃエモーショナルに描き切っためちゃくちゃ面白い作品でした!オススメです!
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