奈月

ヴィクトリア女王 最期の秘密の奈月のレビュー・感想・評価

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 英国ハノーヴァー朝第6代女王であり初代インド皇帝でもあったヴィクトリア女王と、ムスリム教徒のインド人の史実に基づいたお話。

 自分が知らない分野の話を聞いた時のヴィクトリア女王のワクワクとした表情が印象的だった!私も自分が明るくない分野の引き出しを持っている人と話すのが大好きだからすごく共感できた。丁寧に説明してもらってちょっとでも理解出来れば今まで完全に不透明だった世界を垣間見られたような気がして良いよね〜わかるよ、ヴィクトリア。
 アブドゥルに対する白人従者達の嫌悪感がすごいな…と思ったけど時代背景を考えると、長年世界の覇権を握り続けていた英国女王が統治下の有色人種にした対応としてはいただけないよな…と思い直した。
 女王自身はあまり教養の無い人物として描かれていたけど、だからこそ色眼鏡無しでアブドゥルを評価出来たのかな。というか周りが本音を隠してご機嫌伺いばかりする中、アブドゥルはインドの名所を「この世で一番美しい建物です」「世界一美しい玉座です」って言ったりウルドゥー語を「数ある言語の中で最も高貴な言語です」って真っ直ぐに紹介するからそりゃ「おもしれーインド人。採用👍」ってなるよな〜
 そしてヨーロッパ王朝映画あるある内装が素敵!!!特に寝台列車の内装が好き!!!
 女王が「私の愛しい息子よ」と声を掛ける部屋に聖母子の絵画が掛けられている演出が良かった。あえて遠目からも聖母子だとわかるように、円形が特徴的なラファエロの小椅子の聖母子を配置したのかな…と思うなどした。
 あと代役で連れてこられて巻き込まれた友人が諦念してなお祖国に誇りを、そして英国に憎しみを持ったまま生き抜いていてかっこよかった。


「一滴の滴よ 安んじて身を任せれば
海に行き着く 我を捨てれば
大いなる海で安らぎを得よう」

永遠の宴でどうか安らかに
奈月

奈月