とらキチ

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のとらキチのレビュー・感想・評価

5.0
劇場公開時鑑賞しましたがBDにて再鑑賞再レビュー。
まずなんと言っても、ムーニー役ブルックリン・プリンスちゃんのあまりに上手すぎるお芝居!何故あそこまで自然なお芝居が出来るのだろうと本当に感心してしまう。
カメラの目線(高さ)も物語も6歳の女の子ムーニーの視点で進んでいく。それは一見楽しい日常なのだが、でもそれは大人の立場からすれば、相当貧しくて辛い状況にどんどん追い込まれていっているのだけど、でもムーニーにとってその日々は、母親と一緒に過ごすかけがえのない夏の楽しい日々な訳で…そんな事をアタマの中でグルグル考えながら観ていると、自分のココロにグサグサといろいろなモノが突き刺さってくる。そんな母娘を厳しくも優しく見守るモーテルの管理人のデフォ。彼こそこんなしがない世の中で、かろうじて残されたアメリカの最後の“良心”なのでは、と思えた。
米国中、世界中が憧れる“夢と魔法の国”のすぐ隣で、貧困に喘ぎ、どうにもならなくなっている大人や子供達が大勢居るという現実。こんなにも強烈に示される光と闇の差、これもまたアメリカそのものなのだと、悲しいほどに思い知らされる。
そんな格差問題以上に衝撃だったのが、母親のヘイリーがモーテルの受付の窓に自分の使用していた生理用ナプキンを投げつけ張り付け怒りを露にするシーン!あまりに衝撃的過ぎるこのシーンこそ後世まで語り継ぐべき映画史に残る名シーンなのでは。
それと「真夏の魔法」は余分。邪魔。
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