かよ

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のかよのレビュー・感想・評価

3.5
天才子役っていったい何人いるんですかね…。これ嫌味じゃなくて、本作のムーニーちゃんが素晴らしかった。

大人である自分は、子供のいたずらに「このクソガキが!」と見ながらイライラし、母親の「仕事を探せ?あんたが探してよ!こっちは片っ端から断られてんのよ!(ニュアンス)」にやるせなくなり、忌避していた仕事についに手を出さざるを得なくなるのに言葉を失うが、母娘はお互いにずっとかけがえのない存在であり続けることに救われる。

いたずらばかりするムーニーも、シリアスな表情が絶品!大人とか子供とか、女とか男とかを超えた表情だった。

そして強面のイメージが強いウィレム・デフォーが、厳しくも優しい役柄で、救いだった。

貧困を描いた映画は少なくなく、幼い子供を抱えたシングルマザーの映画における末路も目新しいものではないけれど、ラストシーンは白眉であった。
エンドロールの演出も含め、登場人物の今後を祈りたくなる気持ちになった。

欲を言えば、映画が現実に先行する、というものが観たかった。彼女は追い込まれて、もうこれしかないというところに突っ込んでいくしかなかったけれど、現行の制度ではこうなるしかないが、こうしたら救われるのではないか、という新しい提示ができたら素晴らしいと思う。
かよ

かよ