Iri17

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のIri17のレビュー・感想・評価

4.9
アメリカ版『わたしは、ダニエル・ブレイク』のような作品だ。

非常にリアルな社会の闇を描いているのに、徹底して子供の視点で描かれる点が素晴らしい。
子供はどんなに絶望的な状況でも楽観主義を貫き、想像力を忘れずに夢想する。ピカソは「子供の時、誰しもが芸術家なのに大人になると忘れてしまう」として、子供のような絵を描こうとした。そのくらい子供とは強い存在だ。
だから悲惨な状況を描く2時間が、冒険のようであり、夢が詰まってる不思議な映画。
正直近所にいたらクッソムカつくようなガキだけど、それがまた子供のリアル。だから悲惨さが伝わってくる。そんな現実逃避の天才である子供が悲しみのあまり泣きじゃくるシーンがある。子供が唯一逃げられない現実って家族と引き離されることなんだな。

この映画の舞台がなぜフロリダなのか。フロリダはキューバ移民が大量にいるため、格差が激しく、貧困の多い地域も多い。その一方でディズニーランドがあったり、マイアミビーチがあったり、まさに夢と現実の入り乱れた土地だ。

現実から逃れるために夢の世界に入り込む映画は沢山ある。『ラ・ラ・ランド』、『シェイプ・オブ・ウォーター』、『マルホランド・ドライブ』、『8 1/2』、『仮面/ペルソナ』等々。しかし本当に夢の国に逃げてしまう映画は初めて!最高ですよ!
Iri17

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