YUKi

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のYUKiのレビュー・感想・評価

3.0
予告を観るたび、
青みがかったピンクや
パステルカラーで埋め尽くされた
カラーリストのセンスに
惹きつけられていて、
それをスクリーンで体感するのを
楽しみにしていた。

かと思いきや、そのカラーリングは
日々生きることに何かしらの難を
抱え、安モーテルで暮らす人々の
苦しい生活を色とりどりに塗り替えた、
虚像だったという儚さ。

その反転の演出は、先々の希望に
つながる布石なのかと思って観ていた。

序盤の、モーテルに暮らす
子どもたちの無邪気ないたずら、遊び‥。
言葉遣い、態度、いきなりにして
たちが悪すぎる。

子どもは好きだし、のびのびと
遊ぶ姿は見ていて和む‥はずが
ほんまクソガキすぎて。

と思っていたら主人公である
その子どものうちの1人、
ムーニーの母親であるヘイリー。
‥この人に全く感情移入できず、
したくもなかった。
この親にしてこの子どもあり。

自分の生きにくさを
すべて他者や環境のせいにして、
仕事を斡旋してくれる人をも
自分を見下していると一蹴。

娘に対する愛情だけはあるから
この生活をどうにかしようと
奮闘‥はしない。

この作品のなかで、モーテルの支配人
ボビー(ウィレム・デフォー)だけは
底辺のそんな生活を送る人たちを
陰ながら放ってはおけず、
仏頂面ながら全員を気にかけ
遊ぶ子どもたちを変質者的なよそ者から
守ったり、心ある存在なんですね。

ヘイリーはそのボビーすら罵倒し、
感謝も見せず、下品な八つ当たり・逆ギレ‥
というあり得ない態度を浴びせます。

わたしはここがいちばん
許せなかった。

ヘイリーの成長のないまま、
子ども×ファンタジー性の演出で
ふわーっと終わってしまうラストも
納得がいかないです。

ボビーだけは報われるべきだし、
せめて安心させてやるべき。
ヘイリーの多少の成長がなければ
なんの意味もない。

ただただこの、フロリダの
ディズニーランドのすぐ側の
貧困層の生々しい日常生活を
描くつもりだったなら、もっと
社会的なドキュメンタリータッチでもよかった。

淡々と生活を見せる、
それがサマになる技巧もとくにないなら
そうあって欲しかった。