フロリダのカラっとした陽射しとパステルカラーで彩られた街並み、子供たちの笑い声。子役たちの演技がとても自然でイキイキしていて、特にムーニー役の子はすごい。憎めない悪ガキ感を目一杯出しつつ、「大人が泣くときが分かるの」のようなハッとさせるセリフも自然に繰り出す。終盤の泣き顔にも心を揺さぶられた。
そんな子供たちの視線を通して浮き上がる、根深い貧困と格差社会。
安モーテルに住み、ムーニーと一緒に犯罪まがいの行為をしたり悪態ばかりつくヘイリーは傍から見れば決して良い親ではないけど、ムーニーへの愛情だけは伝わるのでやるせなくなる。そしてムーニーもヘイリーを愛してる。子供ながらにうっすらと大人の事情を察してるんだろうなぁと思わせる表情も切ない。そんな2人とウィレム・デフォー演じる管理人との関係も絶妙だった。
ヘイリーはきっと望んでこんな暮らしになった訳じゃないだろうし、おそらく彼女の親も似たような感じだったんじゃないかな。このままだとムーニーの将来も…なんて考えてたら、すさまじいラストシーン!
環境やしがらみに囚われてどうすることもできない大人たちの世界を、予期せぬ方向から突き破る鮮烈さ。最高だった。こういうことができるから自分は映画が好きなのかもしれない、なんてことを思った。
人によってハッキリ好みが分かれそうな作品だけど、僕は大好きです。
色彩センスやカット割もめちゃくちゃ良かったし、キャスティングも…え?ケイレブ君!?出てた?笑