柏エシディシ

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
「ハッピーエンドを越えたマジカルエンド」って、、確かにそうかもしれないけれど、魔法とか奇跡なんて体裁の良いもんじゃなく、まじないとか呪いと言った方がいいものを観客に残すんじゃないかな、これは、、。
それぐらい重い一発をお見舞いしてくる、かわいい外見とは裏腹に凶暴な映画。

夢と魔法の王国のすぐ隣では暗黒の現実が口を開いて待っている。
もはや虚構の世界(映画)の中ですら其れには抗えない。観客の淡い希望を「敢えて」嘲笑うかの様な挑発的な本作のエンディングは、それでも、人間の可能性や観客への信頼をまだ諦めていない監督の問い掛けの様に思う。

Wデフォー演じるモーテルの管理人がとても良いのですが、彼はまさに観客の分身。日々の営みの中で現実と良心の狭間で揺れ動いている我々自身の。
出来る限りの心配りを絶やすことは無いけれど、決定的で残酷なリアルの前では、力無き傍観者でしかないのか?

なんだか、とっても暗い映画の様な書き出しになってしまったけれど、本編のほとんどは御転婆、というほどお行儀は良くない贔屓目抜きでもク◯ガキのムーニーや子供達の視線で語られる「ひと夏の冒険譚」として、とっても楽しい。とにかく子供達の演出が素晴らしい。演出?なのか?もはや演技じゃない。あの年頃の子供って、ただ歩いてるだけでも、せわしないし、訳わからないじゃないですか?ホントそのまんま。カメラも彼女達の視線に寄り添ってて、そんな忘れ去ってしまったけれど誰でも確かにあったあの頃に観客をタイムスリップさせてくれる。
そして、だからこそ、並行して語られる「大人の世界」(この場合、本当の世界と言うべきか)の容赦無さ、寄る辺無さが浮き彫りになるという、、、

貧困や社会不適合を自己責任と断罪し、無関心無関係を装う様な風潮は、ここ日本だけでなく世界の至る所で表面化している、今そこにある危機。心ある映画作家達が符合する題材を取り上げて警告を発している。
虚構は無力かもしれないけれど、それに触れた私たちは無力ではいられない、そう信じたい。