松波庄九郎

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法の松波庄九郎のレビュー・感想・評価

4.0
フロリダ・ディズニーワールドのすぐ側にある安モーテル「マジック・キャッスル」に住む貧困層の人々の物語。主人公のムーニーは香水などの偽物を売って日銭を稼いでいる母親ヘイリーと二人暮らし。母親同様奔放なムーニーは近所の餓鬼たちと連れ立って、毎日冒険をして、いたずらをして、大人たちを困らせる。モーテルのマネージャー、ボビーは住民たちに厳しいが、子供たちを見守る目は優しい。
子供たちが起こした事件をきっかけに、母親ヘイリーは売春を始め、それがバレてモーテルを追い出されることになる。母親と別れなければならなくなって友達の前で泣き叫ぶムーニーに真夏の魔法が訪れる。
礼儀が悪くて、うるさくて、はた迷惑で、注意をする人間には逆ギレする最悪な母娘を見てると、イライラしてしまうが、負けずに怒鳴り散らすマネージャー役のウィレム・デフォーの演技が素晴らしい。ベトナム戦争でも正気を失わなかったエリアス軍曹が「バーンズ!」と叫んでいたのは30年も前か。やっぱりデフォーは良い人だ。
最後になったが、ムーニー役の女の子は、本人がこんな子なんじゃないかと思えるほどで、演技とは思えない。ずっと憎まれ口を叩いていたのに、最後に泣き叫ぶ顔には思わず同情してしまう、見事な演技。