Hero

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のHeroのレビュー・感想・評価

5.0
母親の生活能力は皆無、一時の性欲に身を任せ子供を産み、夢の国の近くのモーテルでその日暮らし、そこで暮らす人々はビハインド時の阪神ファンよりも民度が低い、それに伴う生活水準は言うまでもなく、でもムーニーをはじめ子供たちには笑顔が絶えない。唾吐き大会に始まり、アイスクリームかんぱ、ボヤ騒ぎ、ブレイカーゴロシ、身の回りに溢れかえる危険をアドベンチャー感覚で楽しむ子供たちの笑顔。ここ以外何も知らない彼女らにとってそれは“ごくありふれた日常”なのだ。ディズニー観光に訪れた富裕層をターゲットにした偽ブランドの押し売り、子供を風呂場に閉じ込めて爆音ミュージックの中での売春、金が貯まれば一週間分の賃料を払いまた稼ぐの繰り返し、こんな後先見えないその日暮らしがずっと続くわけもなくいずれ来るその日は着々と足音を立てて近づいてくる。そんな迫り来る危機をムーニーも本能で感じ取る「大人が泣くときわかるんだ」「なんでこの木が好きかって?倒れてても育っているから」、そのくせ母親は定職に就く気もなく夜は男漁りに奔走、メシもろくに作らず気に掛けてくれてるオーナー・デフォーに罵詈雑言、マジでこいつ殺してやろうかとイライライライラ上映中普通に会話しだす前の席に座る老夫婦にもついでにイライライライラ、、、しかしムーニーの涙が観客に全てを許容させる、もう「それでも愛そう」白ひげモードになりながら号泣した、隣の人も号泣してたしたぶんその隣も号泣してた。一般論に照らし合わせれば間違いなくこいつは母親失格である、しかしそれとともにムーニーの笑顔を絶やさない最高の母親であることも間違いなかった。ムーニーの笑顔が守られるならば押し売りしてもいいし売春してもいい男漁ってもいいし料理作らなくてもいいしもう何やってもいいとにかくムーニーを幸せにしてやってくれと願わずにはいられなかった。世界中にあしながおじさんやおばさんやお兄さんやお姉さんを生み出すこと必至の大傑作。とりあえずアイス買ってやりてぇ。