タンジェリン監督の最新作。
パステルカラーで彩られた鮮やかな画面、計算し尽くされた色彩美。冒頭のムーニーちゃんのお友だちが登場するシーンの、お友達の着てる洋服の色と背景の壁の色のコントラストにクラクラした。どこを撮っても絵になるように色に色を重ねて、つくりこまれた画面の中子供たちだけが演技なんて忘れたみたいに自然に駆けずり回る。
ムーニーちゃん御一行様の悪ガキっぷりに辟易しながらもあっけらかんとほんわかなやり取りに癒される前半パートは、子供目線で見た子供たちだけの世界。周りのすべてが新しさに溢れ、世界はパステルのなかフロリダの陽気にキラキラと輝く。
視線が大人のそれに上がった途端シリアスさがどんどんと増し、パステルカラーにもダストがかかる。ひたすらそれを突き付けられる後半パートは正直かなりキツい。キリキリと痛くなってきて「もう勘弁」の絶妙なタイミングで、ラスト視線がもう一度子供のそれに振り戻される。
あの疾走感！！先なんてなくても、子供たちには「夢の世界」が見え続けている。
とにかく子役のムーニーちゃんが自然体そのものでめちゃくっちゃ演技が上手！！ムーニーとヘイリーをクローズショットで交互に映しだすフードコートのシーンは最高すぎて笑って泣けた。
この子供たちにどうウィレムデフォーが絡むのかと前半じつはハラハラしていたんだけど、思った以上に彼も自然にこのパステルの世界に馴染んでいた。彼がいることで場が安定し、ほっとする。なんか、それが意外で、でもすごく癒しだった。
