つばさる

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のつばさるのレビュー・感想・評価

4.2
こういう映画やりそうにない意外な映画館で上映開始されてて、しかも昨日までと知らずにノーマークでいたら、丁度最終日に観られてラッキーでした!
ほとんどBGMが無く、出演者の演技が自然で、ドキュメンタリーのようでした。

・ストーリー ★★★★☆
アパートを契約出来ず安モーテルで暮らす人々の日常を描いていて、エピソードの一つ一つがすごく現実味がある。

ここの子ども達の遊びはなかなか衝撃的。
モーテルの入ってはいけない部屋に入るし、アイスクリーム屋さんの前では見知らぬ人にアイスクリーム代をねだる。いたずらの度が過ぎるので、かなりヒヤヒヤする。この子たちの将来が心配だけど、明るく楽しそうな笑顔がただただ救い。

ハッピーエンドでも無くバッドエンドでもないラストは「ここで終わり⁈」って思ったけど、すごく後を引くというか、考えさせられる。そこが監督の狙いなんでしょう。
あの先はハッピーエンドだと思いたい。
「真夏の魔法」の意味を考えるとせつない。


・キャラクター★★★★★
とにかく子ども達が可愛い❤️
演技が演技だと忘れるほど自然体だったし、特にムーニーのころころ変わる表情は、もうムーニーだとしか思えない。6歳ぐらいの女の子にあんな演技指導ができるものなのか?と不思議だった。

ムーニー役のブルックリン・プリンスちゃん、ジャンシー役のヴァレリア・コットちゃん、スクーティ役のクリストファー・リヴェラくんの3人は共にフロリダ州出身。ブルックリンちゃんは3歳で女優デビューしてるけど、ヴァレリアちゃんは今回監督に近所の量販店でスカウトされ、クリストファーくんはスクーティのようにモーテルで暮らしていたところ、地元で見た出演募集広告に応募。映画に出るという夢が叶った。
彼女たちの今後がとても楽しみ♪( ′ᴗ‵ *)

ヘイリーを演じるブリア・ヴィネイトは今回がスクリーンデビュー作。監督にインスタで見出されたんだとか。あのミントブルーの髪色はかなりのインパクト!あれは一発で覚えられちゃうから、悪いこと出来ないと思うんだけど😹
ヘイリーはまだ子どもっぽくて、不器用で時に感情的になって状況を悪化させてしまう。もう少し上手に生きるっていう方法を誰も教えてくれなかったのかも。
かなり下品な事もしてしまうし、ムーニーはそんな母を見て育ったから、言葉遣いが悪い💦
飛行機に向かって親子で中指を立てるシーンも…

親子を見守るモーテルの管理人のボビー(ウィリアム・デフォー)
身内でも無いのであまり首を突っ込めないし、立場上ヘイリー達を特別扱いも出来ないので、いつも一定の距離を置いている。
ただそれでも、迷惑がっていても、決して見放さないところがあったかい。
子ども達を危険から守ろうとしたり、迷い込んだ鳥に話しかけるシーンが大好きだ!


・オシャレ度 ★★★★★
全体がシャーベットやアイスキャンディのよう。カラフルでポップで甘い。うす紫の壁の色がファンタジック。この辺は「真夏の魔法」ぽい。モーテルの名前が“Magic Castle”だし。

どのカットも色味が統一され計算されていて見入ってしまう。

観光地らしいユニークな建物がいちいち興味をそそる!
建物のざっくりとしたチープなハリボテ感もこの映画の世界観に一役買ってる。引きで撮って建物を全体に映してる構図がおもちゃの家のようで、現実味無くて好き。


・エンタメ度 ★★☆☆☆
子ども達が楽しそうだしとても可愛いんだけど、映画自体はワクワクする感じでは無い。むしろずっとハラハラして子ども達が心配になる。


・メッセージ性★★★★★
貧困と教育

終始子どもの目線で描いてる。
真っさらな子どもはこの状況をどう感じるか?
大人のルールを子どもはどう捉えるのか?

唾吐きゲームで唾をかけられて、ヒリつく大人達を余所に、第一印象最悪な状況でも仲良くなってしまう子ども達。後に「親友」になるムーニーとジャンシーのやりとりがとても印象的だった。

あ、ちょっとよくわからなかったのが、ケイレブくんはウィリアムさんの別れた妻との間の息子ってことかな?

2018年劇場鑑賞20本目
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