踊る猫

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法の踊る猫のレビュー・感想・評価

2.7
クール&ザ・ギャングの音楽が流れる冒頭の楽天的/祝祭的な雰囲気は、しかし日常の殺伐とした雰囲気に取って代わられる。映し出されるのは生々しい、その日暮らしの地獄のようなどん底の生活……なるほど生々しさはある。逆に言えば、その生々しさを描くことに腐心するが故に、肝腎のストーリー展開の旨味やショットの美しさでこっちを引っ張って行こうとする色気がない。そこでどうしても点が低くなってしまうが、これもまた人を選ぶ映画なのだろう。それにしても子どもたちの明るいことといったらどうだろうか! この映画では大人たちは全然仲良くならない。いがみ合ってばかり、対立してばかり。それと比べて子どもたちは利害関係を超えて友だちになれる、そんなフットワークの軽さがある。子どもたちの走る姿の美しさ(特にラスト・シーン!)をもっと観せて欲しかった。その点で、色々と惜しいというか残念な映画だと思う。
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