ピンクのモーテルを中心としたカラフルなまちに彩られた、子どもとその親たちの、まぶしくて少しざんこくな日常。
社会的な背景も垣間見えるだけに、私には少し胸が痛かったが、それ以上に親子の屈託のない笑顔が美しく、崇高なものに思えた。貧困がどうとか言及するのは、それこそ野暮だと口をつぐみたくなるほど。
また、この映画の舞台が某夢の国の近くにあるとは前評判で聞いていたものの、その事実は町がカラフルなことと劇中の描写で何となくにおわせる程度で終わるのかな、と思っていただけに、最後の場面で得たカタルシスは、それはもうすごかった。カラフルな地獄のすぐそばには、幸せをつくる夢の国。
(2018年9月 ほとり座にて鑑賞)