LYRICODE

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のLYRICODEのレビュー・感想・評価

4.0
ピンクのモーテルを中心としたカラフルなまちに彩られた、子どもとその親たちの、まぶしくて少しざんこくな日常。
社会的な背景も垣間見えるだけに、私には少し胸が痛かったが、それ以上に親子の屈託のない笑顔が美しく、崇高なものに思えた。貧困がどうとか言及するのは、それこそ野暮だと口をつぐみたくなるほど。
また、この映画の舞台が某夢の国の近くにあるとは前評判で聞いていたものの、その事実は町がカラフルなことと劇中の描写で何となくにおわせる程度で終わるのかな、と思っていただけに、最後の場面で得たカタルシスは、それはもうすごかった。カラフルな地獄のすぐそばには、幸せをつくる夢の国。

(2018年9月 ほとり座にて鑑賞)

他のユーザーの感想・評価

yuto

yutoの感想・評価

3.6

観ただけでは自分の中で整理がつかない難しい作品でした。
なので後に調べたこと、他人の方の意見、解説、を交えてます。


まず、感じたのは子役の女の子が無邪気で演技力があること。現場では子役達ははしゃいでばっかりだそうで楽しそうな現場だったんさじゃないですかね。
そういう楽しみのある撮影の方が、子供は力が発揮するのかも。

あと、子供視点の描写が多かったこと。
カメラを低くして大人を脚だけ映して子供をメインに映す。とかカメラワークによって視点を変えてるのは面白い。

あとフロリダという言葉を聞いて〇〇を知らない人にとってはこの映画に散らばってる伏線は面白いと思う。
実際僕もあーそういえばってなったし伏線の意味がわかったときは楽しかった。


__________________________________
以下ネタバレ含める






ラストのシーンでは、ただの思い出作りだと思いました。
子供って大人が思ってるより賢いのか賢くないのか分からない。
ムーニーが泣いててバイバイと言われて何を感じたんだろう。
そこまで察しが良いのだろうか?
ただもう会えないからディズニーランドに行って思い出作りをしたのか。
大人からの抵抗で夢に向かったのか。

子供はいつも思いつき。
その純真さに子供なりの価値観がある。

ここでは単純に泣く友達を喜ばせたい彼女なりの表現として走っていったのかなと思います。

ただそれだけだと、子供が少し良いことした、終わり。
みたいにあっさりになっちゃう。
だから映してる部分ではそういう解釈。

この映画の伝えたいことを
ここからは他の方の視点や調べたことを交えて考察する。

子供からの大人への抵抗やディズニーに対しての反発が込められてると感じます。

ディズニーはフロリダ・プロジェクトという名前でフロリダのテーマパークの開設を目指してたんですね。後にそれがディズニー・ワールド。
そして晴れて世界から人気の夢の国、みんな胸をワクワクしてフロリダに来る。
でも現実ではその隣に、隠れホームレス達が住む場所があることも知る。
予約した新婚さんが幻滅したのと同じ。
まるで世界が違っている。
ディズニーの夢の提供によってより一層モーテルの人たちは現実を突きつけられてる。

でもその中でも楽しく生きる家族の姿もありました。無邪気で儚いけども笑いあってるときは幸せなんですよね。

現実問題、家族、生き方、
それらをこの映画から学びました。
s

sの感想・評価

4.0
最後のムーニーで泣いた
カラフルでキラキラしてるのに現実は厳しくて辛いな
白石

白石の感想・評価

4.9
2018年の映画で一番オススメしたい!!!

子供達の演技力がすごすぎる。
演技じゃないのかもしれないなこれは。
大人になりきれない親と暖かく見守る管理人と無邪気に遊ぶ子供たちに釘付けになっちゃった、、、
ムーニーは生意気なのに愛嬌がめちゃくちゃある!!!

ラストは鳥肌

子供の頃ディズニーランドの横に家があったらいいなーって考えてたけどこれが現実なのかな

エンドロールディズニーの環境音流してるのやばいね!!!
ゆた147

ゆた147の感想・評価

3.2
色々伏線はあった。ラストの展開うるっと来て笑えた。

中身よく知らずに見ちゃったから期待してたものとは違いました。そういうことねと納得。

終始面白い映画という作品ではないですね。
KarimF

KarimFの感想・評価

3.9
甘いシーンもなければハッピーエンディングでもない。けど、見てよかった!すごい世界もあるな、と思ったけど、ただ見てないだけで日本にもいるよな、と思う。
貧困から抜け出せない母と娘。
助けたいと思うけど誰も助けられない。どうしていいか分からない。

お母さんはほぼトレーニンせずに臨んだらしい!素晴らしかった。本当にそういう人にしか見えなかったし、時折見せる絶望感というか、疲れ切った表情がとてもリアルだった。
emichi

emichiの感想・評価

2.0
ドキュメンタリーのような感じ。

モーテルで暮らしてる母と娘が毎日どうやって生きていくかって感じの映画かな…。
私からしたらちゃんと職に就かない親がどうかと思ってしまいます。
娘と一緒に過ごしたいならちゃんとすればいいのにって…
gale

galeの感想・評価

3.7
普通に好き。ラストがよくわからないって意見を散見してたけど良いんじゃないかなと。

ディズニー・ワールドのあるフロリダで、安モーテルに住み着いた親子。貧しいながらも、子供ムーニーにとっては、アイスのお金をせびったり、古民家に入ったり毎日が冒険の連続。しかし、日常には暗い現実が影を落とし始める…という話。
大人になった私たちが忘れてしまったのかもしれない輝きに満ちた日々が眩しい。カメラもムーニーの目線に合わせて常に低く、私たちをもその冒険に連れていく。でも貧しい現実は残酷。「子供だからわからない」ときっと片付けられたのかもしれないけど、自分の大切な冒険が失われていくことには変わりなくて、他人に干渉を許さないムーニーの姿勢には驚きの連続だった。
あと、かなり小児性愛者の問題に強くフォーカスしてたように思う。

ウィレム・デフォーカッコよかったなあ…あとさらに蛇足だけど、『スリー・ビルボード』の広告屋の彼が数シーンだけ出ててびっくりした。
kodo

kodoの感想・評価

4.0
子供たちが子供たちすぎてドキュメンタリーみたい。なんでこの町こんなにカラフルなんだろ、監督の趣味かなと思ってたら、町の近くにあるディズニーランドが景観を損ねないためにうるさかったからなのね。終始子供の視点で、廃墟の窓ガラスを割って遊んだりして、フロリダの子供も自分の子供の時とあんまり変わらないなと思って観てたけど、それは周りの住民や母親や子供たちが、貧困の現実と向き合わないように努力してるから夢の中にいられたんだと思ってせつなくなった。
この町の子供はディズニーランドよりディズニーランドにいるなと思った。
2049

2049の感想・評価

5.0
現代社会に生きる全ての人に観て欲しい傑作。

フロリダのディズニーリゾートの側の安モーテルでその日暮らしの生活をするシングルマザーのヘイリーと娘のムーニー。ヘイリーは仕事を理不尽な理由からクビになり、無職の状態だ。

母親が働いておらず、定住する家もない。明らかに貧しく、荒んだ生活が想像出来るが、映画は終始子ども達の視線で語られ色鮮やかに光り輝いている。
みんなでシェアする一つのアイスクリーム、モーテルの少し可笑しな住人、廃墟の探索、虹の麓、牧場の牛、飛び立つヘリコプター…子ども達にとってたとえ貧しくても、世界は宝物や魔法や冒険で溢れている…ショーン・ベイカーが子ども目線で活写する彼らの姿は、カラフルでどこまでも楽しい。
ヘイリーははっきり言って良い母親ではない。人としても余りにも幼稚で、自分勝手で他人に迷惑ばかりかけている。しかし、ヘイリーとムーニーは、一緒ならいつも笑顔だ。それは、最も大切なことのように思える。

物語が進むにつれ、そんな2人にヒタヒタと、しかし確かな絶望を伴って現実が忍びよる。

ヘイリー達が迎える現実は自業自得なのだろうか?ヘイリーは母親失格なのだろうか?確かにヘイリーの行動は間違ったものばかりだ。中には犯罪行為もある。そんなヘイリーのもとで育てられるムーニーが貧困から抜け出せる可能性はかなり低いだろう。それは全てヘイリーの責任なのか?ヘイリーに教養がないのも、仕事につけないのも、定住する家がないのも、全てヘイリー自身の責任だと断罪すべきなのか?

児童家庭局はヘイリーの行動の表層をなぞって、ムーニーを里親へ出すことを決定する。ヘイリーの行動の背景が、全てムーニーのためであることなど彼らには関係ないのかもしれない。まるで、iPhoneの画面を指でスワイプするように、簡単にヘイリーを社会の落伍者として弾き出す。経済大国アメリカの底辺で、這い蹲るように懸命に生きる人々に全ての責任をなすりつけ、無かったことにした挙句、自己責任論を振りかざし彼らを更に闇の底へと叩き落とす。今作は徹底的なリサーチによってアメリカ社会の闇と、彼らが放棄した責任を炙り出す。


日本は些細な失言や、間違いを犯した人間を徹底的に叩き潰す不寛容な社会になってしまっている。人々は日々怒りや不満を抱え、誰かが過ちを犯せばその怒りを、欺瞞に満ちた正義の剣に持ち替え一斉に断罪する。道を誤った人間に手を差し伸べ、共に未来へ向かい助け合いながら歩むことなどない。社会のため、正義のためといった大義名分のもとで、人々は互いに足を引っ張り合い、憎しみあっている。
この映画を観て本当に恐ろしかったのは自分自身だ。もし、自分が実際にヘイリーとムーニーに会ったとしたら…自分は何も考えず、表層だけをなぞって親子を批判したかもしれない…クズだと罵ったかもしれない。自分自身が不寛容社会を形作る人間の1人になっていたことを思い知らされたのだ。この映画は僕の目を覚まさせてくれた。すぐには変われないが、間違いなく観る前と観た後で自分が違う人間になったという実感がある。
いつの日か、人々が互いに支え合い、手を取り合う平和な世界が訪れるだろうか。ヘイリーとムーニーがいつまでも無邪気に笑い合える世界が訪れるだろうか。

懸命に駆け『夢の国』へと逃避する2人の背中を追いかけるラストショットは最早奇跡と言っても過言ではない。あまりにも強く胸を締め付ける。
この映画がたくさんの人の心に届くことを切に願わずにはいられない。
自分にはまだ手に負えない映画やった

お金も建物もディズニーも、
一部の誰かが価値を勝手に決めている
それが繰り返され、資本主義の調和が保たれる
スタンダードなものと、そうでないものと。

クライマックス、少女が2人で駆け出すシーン、ミッキーの柱/車/国道/商業施設/ディズニーキャッスル 監督の言いたいことが全て詰められていて秀逸やった
「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」の感想・評価を全て見る

LYRICODEさんが書いた他の作品のレビュー