JIZE

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のJIZEのレビュー・感想・評価

3.6
夢の国ディズニーに因んだネーミングの安モーテルでは夢の世界とは裏腹に貧しい人々がギリギリの生活を紡いでいる。宿代さえ払えば永遠に住み続けられる夢と現実の痛烈な皮肉の対比がまず舞台立てからして驚かされた。冒頭で子供が車体に向かってモーテルの二階から唾を何発も吐いたりテーマパークのそばにあるアイス売りワゴン付近で金をせびるなど文字通り"やりたい放題"の連中だが逃れられない貧困と状況が前進しない自由なやだ味のアイロニーが凄まじく印象的でマジカルと現実が同居する。

とにかく子役の演技が自然的でうまい。一見イタズラする過程を眺め続けてるだけのようで子供の視線から周囲の世界を眺め子供らしい問いを真っ直ぐに大人へ投げ掛ける。華やかな場所のすぐ側で暮らす人間たちにスポットが当てられてるようそこで暮らす人間たちにしか分からない幸福や有意義さの親しみを感じ不幸だけではない事を真摯に実感させる。現実は厳しくときに残酷だが映画の温度は常に暖かく優しい目線で綴られていたように感じました。
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