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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のKKのレビュー・感想・評価

4.2
口の悪い子供たち、常識のない親
序盤では、これは何を見ているんだ?って気分になった。

イタズラばかりのエネルギーが有り余ってる子供たち。
ムーニーのやかましくも明るい笑い声は、貧しい暮らしの中でも活力を与えてくれる。
このムーニーの演技は本当に凄い
作品を通して、子供の視点から、かなり低いアングルならのカメラワークが多くて、そうするとメインは基本的に、子供になる。大人とルーニーが歩いていれば、ルーニーの全身と大人の足だけが映る。食事のシーンでは、ルーニーの顔のアップだけを映している。それだけルーニーに注目させられても、全く違和感を感じなかった。日本の映画やドラマで感じることが多い、子役の「ぶってる感」が全くなかった。ルーニーのありのままをそのまま表しているのは、監督の手腕とブルックリン・プリンスちゃんの才能なのかな。

管理人のボビーの優しさがホントに身に染みる。子供たちにも、その親にも凄い厳しく言うけど、間違ったことは言っていないし、本当に困ったときには助けてくれる。
罵倒されようとも、結局は助けてくれる
この作品の中で1番の仏だった。
道路にいる鳥にさえ話しかける姿には癒された。

そんなボビーでも、ラストはもう2人を守ってあげることが出来なくなってしまった。

ルーニーが1人でお風呂に入るシーン。
途中から、ああ、そういう事かと悲しい事実に気づく。

「大人が泣く時が分かる」
ルーニーは分かっていたんだ。
ジャンシーのところに逃げたルーニーを見たらもう涙が止まらなかった。
いつも明るく笑っているルーニーの涙
そこから突然変わる映像
iPhoneでとった映像なのか.....
それまで見ていた鮮やかな街並み。
アパートの紫も、空の青も木々の緑も、違和感があるくらい鮮やかに見えていた。毎日が冒険で楽しかった日々。

だけど、現実はそんなに明るい世界じゃなかったのかもしれない。
2人が行った世界が現実であろうとなかろうと、ルーニーは今までと同じ世界には居られない。

誰が悪いでもなく、あそこでああしていれば、と後悔するべきこともない。
ああするしか無かった。
それでも、貧困からは逃げられず、愛する家族すら引き離される。

この現実はいったいどうすれば変えられるのだろう。
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