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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のchiのレビュー・感想・評価

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ちょうど一年前、
友人にアメリカのディズニーランドに連れて行ってもらった。
泊まったのはディズニーランドから程近い、所々でマリファナの臭いが立ち込めるモーテル。
シャワーは壊れていて水が出なかった。
この物語の舞台のモーテルにそっくりで、
懐かしい気持ちと一緒に、「もしもあの場所で生活をしていたら」なんて考えて、なんだか複雑な気持ちになった。


ディズニーランドの近くにある格安モーテルで暮らす、貧しい親子の生活を描いたお話。
評価、つけられません。
パッケージと内容のギャップが激しすぎて、とにかく衝撃的だった。



ファンタジックな色彩の建物や服装、
そして美しい景色が、
現実に起こっていることの過酷さや悲惨さを幾分か軽くしているように感じる。
それでも胃が重たい。

子供目線で描いている分、
衝撃を受けるような直接的な描写はあまり無いけれど、
私たち大人は、その先で何が起こっているのかを想像し 絶望する。
間接的に語られる惨さ。
貧困の中で“生きていく”とはこういうことなんだな、と胸が苦しくなった。
この暮らしが、夢の国 ディズニーの近くにある という点にも皮肉を感じる


モーテルの管理人 ボビーが良い味を出してたな〜
子供達を優しく見守り、時に厳しく叱る姿に胸がじんわりと温かくなった
何より、子供達を見つめる表情が絶妙だった、
きっと根がすごく優しい人なんだろうな。
それでも、彼もこれが仕事だから。
情に流されずに役割を全うしなければならない。
彼の気持ちもわかるからこそ辛いと思う部分もあった。


ラストシーンの疾走感、かなり驚いたけれど、
自由奔放で、無邪気で、なのにどこかロマンチックに感じて、私は好きです。

ムーニーがぽろぽろと涙をこぼすシーンには心を揺さぶられた。

もう見たく無いけれど、
私はきっとこの映画のことを忘れない。
chi

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