いち

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のいちのレビュー・感想・評価

3.8
完全に名前に騙された〜!こんな話だったのね。大学時代に行ったフロリダのディズニーワールドがめっちゃ楽しかった青春を思い出して、名前だけで選んでしまった(>_<)
写真もきれいだし、ワクワクするような親子物語なのかと思ってしまったよ…(;_;)

でも、想像していたような楽しい物語ではなかったけど、観てよかったと思います。

そもそも隠れホームレス(The Hidden Homeless)という言葉があることも知らなかった。サブプライム住宅ローン危機がアメリカ全土にどれほど影響を与えたのか…いまだにたくさんの人が苦しんでいることを知り、改めて貧困問題の根深さについて考えさせられました。


実在するモーテル「マジック・キャッスル・イン・アンド・スイーツ」で撮影されたこの作品。格安とはいえディズニーワールドのすぐ近く。1泊でいくらなのかなーってググったら今のレートで1泊4500円くらいだった。
単純計算でも1カ月で13万以上はかかるし、本当に家賃だけで精一杯な家族もたくさんいて…。
なのに普通の賃貸は条件が厳しくて借りられないなんて、貧困から抜ける道を閉ざしているとしか思えない。これじゃあ子どもたちも絶対同じ道をたどるよね。


この24歳の母親は、やっていることを書き出していったら誰が見ても児童虐待だと思うんだけど、子どもを愛していて、彼女なりに子どもを守ろうと必死に日々生活していて(そのせいで最悪なところに巻き込んじゃってるけど)
そして本人に寄り添ってくれる人が誰もいないからこそ完全に悪者には見れなくてすごくもどかしかった。


今のアメリカの厳しい現状を多くの人に知ってもらうためにこの映画をつくったショーン・ベイカー監督。SNSや路上でのスカウトでキャスティングしていて、見事にリアルな作品を作り上げています。
純粋にこの監督の作品をまた観てみたいなと思った。
いち

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