フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法の作品情報・感想・評価 - 66ページ目

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法2017年製作の映画)

The Florida Project

上映日:2018年05月12日

製作国:

上映時間:112分

3.9

あらすじ

6歳のムーニーと母親のヘイリーは定住する家を失い、フロリダ・ディズニー・ワールドのすぐ外側にある安モーテルでその日暮らしの生活を送っている。周りの大人たちは厳しい現実に苦しむも、ムーニーはモーテルに住む子供たちと冒険に満ちた毎日を過ごし、そんな子供たちをモーテルの管理人ボビーはいつも厳しくも優しく見守っている。しかし、ある出来事がきっかけとなり、いつまでも続くと思っていたムーニーの夢のような日々…

6歳のムーニーと母親のヘイリーは定住する家を失い、フロリダ・ディズニー・ワールドのすぐ外側にある安モーテルでその日暮らしの生活を送っている。周りの大人たちは厳しい現実に苦しむも、ムーニーはモーテルに住む子供たちと冒険に満ちた毎日を過ごし、そんな子供たちをモーテルの管理人ボビーはいつも厳しくも優しく見守っている。しかし、ある出来事がきっかけとなり、いつまでも続くと思っていたムーニーの夢のような日々に現実が影を落としていく—

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」に投稿された感想・評価

matsushi

matsushiの感想・評価

4.4
アメリカの社会問題というブラックな題材を、ビビッドでカラフルな色調に加え、6歳の少女の視点で描き、深刻な社会問題を映画というフィクションで消化させない、"映画"を変革しえるマジカルでディープな傑作。

一言で言うと映画の概念をぶっ壊される作品。「わー、カラフルでポップな可愛い作品っぽい!見てみよ!」と言う考えで鑑賞してしまうと、鑑賞後必ず後悔します。ただ、これは映画を知っている人でも賛否は必ず別れるでしょう。

フロリダディズニーリゾート周辺における社会問題である、安モーテルに住み着く貧困層や、貧困層における親子の教育、経済、環境面など、アメリカのそれはもちろん、世界全体の社会問題をも描いています。これだけ聞くとなんだか暗くて退屈そう、という意見が出るかもしれませんが、そんな作品では決してありません。というのもこの作品、ビジュアル面ではポップなビビッドカラーが目立ち、加えて6歳の少女ムーニーの視点で描かれているため、貧困層の生活、それ自体が真新しく、冒険のような描かれ方をしているのです。
要するに、自分はこのブラックな社会問題を題材としつつも、こんなにも明るくポップで楽しい作品に仕上げるその気概が秀逸すぎて開いた口がふさがりませんでした。

また、キャスティング面でも型破りなものとなっています。今回の重要人物である、ムーニーの母親ヘイリーもインスタグラムで見つけたほぼ素人同然のキャスト、他にも多くのキャストが素人同然の人々が使われています。だがそれだからこそ、リアリティが高く、ナチュラルな作品となったのだろうと感じました。

淡々と少女たちの日常を描く本作は、これぞストーリーというな展開、つまり明白な起承転結は存在しません。そして、ハッピーエンドもバッドエンドも存在しません。この宣伝の言葉通り、マジカルエンドというものが描かれています。このマジカルエンドに対して賛否両論が別れるのだと思います。
映画というものだけでなく、ストーリーを持つ表現作品というものは、「ある人物が存在し、その人物が成長や堕落といった変化を起こし、ある問題を解決するもの」というのが一般的でしょう。自分も知らぬ間にこれを前提として映画を今まで見てきました。本作を見るまでは。詳しいことは言えませんが、前述したような現実には決して解決し得ない社会的問題を我々観客にずっしりと深く突き刺し、想像することを促すラストとなっています。自分は1週間ほどこの作品のことで頭がいっぱいになりました。ラストが従来のフィクション的なものとなっていたならば、この作品はこんなにも絶賛もしくは批判されなかったでしょうし、加えて我々観客がこの深刻な社会的問題について深く考えることもなかったと思います。だからこそ自分は本作のラストが大好きなのです。
結末は必ず疑問が残るかと思います。自分もそうでした。そしてそれを「欠点だ」「こんなの逃げだ」、「説明不足すぎる」などと批判するのは簡単です。しかし、そのように安易に批判するのではなく、そのラストについて熟考し、調べ、自分なりの答えにたどり着くこと、またこの社会問題を"フィクション"として終わらせないことが本作を作った監督の願いであり、意図であるのだと考えています。

本作は群を抜いて自分に影響を与えた映画の一つになりました。深刻なテーマに対するポップな演出。こんなにも正反対な事象をここまで綺麗に収める作品はこれまで見たことありません。本当に秀逸で型破りで奥深く美しい作品でした。
なかお

なかおの感想・評価

3.7
リアリティ溢れる貧困を描いているはずが、悲惨さ、絶望さをさほど感じなかった。
何が違うんだろうと考えてみたら、過去を嘆くんじゃなくて『今を楽しむこと』『明日を生き抜くこと』が中心になってるからかなと思った。

なお謎のラスト
そりゃそうやろって思ってしまった
ヘイリーの過去がわからないから一概には言えないけど
saki

sakiの感想・評価

4.0
ムーニーを演じた子はもちろん、子供達の演技がびっくりするくらい自然!!
これは演技なのか、普段の様子をそのまま見てる気分。

子供達の日常にクスッと笑える(笑)

そして最後でやられました。。
話題のラスト。実話のようなストーリーが急に"映画"になるねん。ディズニーワールドの事をディスってるのか?子供達に夢や希望を持って欲しかったのか?いや、広い社会にこの作品を通してもっと大きく訴えたい事があったのだろうなーと思った、子供達がずっと笑っていられるように…。でも結局何も出来ないので、管理人ボビー(ウィレム・デフォー)と同じ傍観者。そして私は偽善者。何やってんやろ。

誰も居ないナイトプールに浸かりながら、好きな人と好きな音楽かけてお酒飲むのん、やりたい。
khanada

khanadaの感想・評価

4.0
グラフィカルで美しいシーンやリアルな子供の演技、ほのぼのとした日常から反転しかけるシリアスな一瞬などファンタジーとリアルの塩梅がすごい。ボビーが夕暮れにタバコに火をつけるシーンがベスト
渋谷ヒューマントラストで『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』を観た。本作は2008年に発生したサブプライム住宅ローン危機の余波に苦しむ貧困層の人々を6歳の主人公の視点から描写した作品。よくこんな貧困を映画にした。支配人のウイレム・デフォーがよかったなぁ。デフォーの仕事振りに感心した。
モーテル、ツバ吐き、マジックキャッスル、アイスクリーム屋、夏のフロリダ、雨、水溜り、子供達の笑い声、火事、虹、タトゥー、35ドル、支配人、プール、貧困、香水、暴力、悪態、ディズニー、それでも人生は続く。
のん

のんの感想・評価

3.4
どこか他人事で鑑賞しているところを、ムーニーの涙の瞬間に抱きしめたくなって。幸せと悲しいが共存できることは、知らなくてもよかったなあ。
①無邪気と無教養で荒んだ大人を翻弄する子供たち

貧困とそれに対する諦め。現実の八方塞がりな雰囲気が漂う安モーテルに囲まれた世界。

荒んだ雰囲気にいる中でも、子供にはそんなの全く関係ない。

主人公、ブルックリン・キンバリー・プリンス演じる少女ムーニーたちは、冒頭からそのクソガキっぷりを思う存分発揮しながら、あまりに傍若無人な態度で大人たちをからかいまくる。

その容赦ない姿に、思わずたじろぐほど。

クソガキたちは、無邪気そのものでいきていく。そしてムーニーの母親ヘイリーもまた、無教養と無邪気で、粗野だけど懸命に1日を生きる。

子供との生活を守るために金を稼ごうとする健気な母。
でも、怠惰で自己欲求をかけらほども隠さない彼女は、定職につかずあらゆるグレーな手段を取る。

傍目に見れば、いつ破綻してもおかしくないような綱渡りの生活。

それでも、ムーニーとヘイリーには満面の笑顔があった。雨の中笑いながら遊びに耽る2人の姿が、頭から離れない。

②子供の視線で描かれた、夢も救いもない極彩色の世界

この映画は、子供の視線と大人たちの視線が絶えず交錯する。

大人が抱える閉塞感の象徴のようなモーテル、廃墟の数々。大人たちの視点に映るのは、現実に直面している抜け出せない貧困に苛立ちながら、それでもわずかなプライドを抱えて生きている人々の営み。

子供たちの視点で描かれるのは、よその人々が寄り付きそうにない廃墟をどう遊び場に変え、彼らにとっての楽園に染め上げて行くのかという、いたずらと好奇心に溢れた営みだ。

そして、今作で中心になるのは子供の視点。彼らには、大人たちの閉塞感を救うことはできない。社会を変えることもできない。

彼らにできるのは、目の前に広がる廃墟を遊び場に変えるだけ。極彩色でカラフルな建物や彼らの衣服をまとった映画の世界は、その色合いとは裏腹に鬱屈としたストレスがそこかしこにある。

そしてラストで提示されたのは、子供にとって精一杯の逃避行。終ぞ遊びを通じてコミュニケーションを

大人と子供の抱える心情のギャップがあまりに鮮烈で、そしてその中で飛んだり跳ねたりする子供たちはあまりに眩しくて、込み上げてくる感情の整理がうまくできなかった。

微笑ましいし、苛立たしいし、悲しかった。

③頑固親父ボビーという、数少ない良心

誰もが自分の生活を守るのに必死な中、ヘイリーとムーニーがクラスモーテルの支配人であるボビー(ウィレム・デフォー)は、大人の中でもひときわ光っていた。

頑固で自身にも多くの問題を抱えているけど、彼には母ヘイリーが見ようとしなかった現実が見えていた。悪態をつきながらも子供たちを守り、いずれ訪れる母娘の別れをなんとか阻止しようと、ヘイリーに更生の道を示唆したり。

あの荒んだ世界の住人なりに、他人の未来になんとか光を差そうとする。作中でも数少ない良心が、彼だった気がする。

④雑感

アメリカの社会情勢、貧困から抜け出すために必要なことは何かとか、考えだすとキリがないくらいに深い闇に覆われた世界を如実に描きだしたのが今作です。

その途方も無い閉鎖的な社会を思うと、気が重くなるし言葉に詰まります。

そんな世界でさえスクスクと育つ子供たち、教養がなくても懸命に子を愛す親たちを思うと、その全てが「間違っている!」と言えません。

処理しきれないたくさんの思いと、粗暴でまばゆい光を放つ子供たちの生きる姿。目に焼き付いて離れなくなる迫力が、たくさん詰まった映画です。
usakoro

usakoroの感想・評価

4.0
さすがショーン・ベイカー
タンジェリンに引き続き、彼の色使いは本当に素敵。

貧困問題を、ある意味でこんなにもポップに描くとは、新しい視点を魅せられた。
子供の視点に置く事で必要以上に語る必要は無い分、観客側は色々な憶測を含ませながらストーリーを見進める。
特にあのムーニーのお風呂のシーン…やっぱりか。

子供にとっては、どんな親だって絶対的で、
そんな純粋さが素晴らしく、時に苦しかった。
ラストシーンの解釈は賛否両論あるらしいが、わたしはバッドエンドだと思う。

2018年23作目