フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法の作品情報・感想・評価 - 66ページ目

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法2017年製作の映画)

The Florida Project

上映日:2018年05月12日

製作国:

上映時間:112分

あらすじ

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」に投稿された感想・評価

risaco

risacoの感想・評価

3.7

「この木が好きなの。倒れてもまだ育っているところが。」

心踊る鮮やかでハッピーな色彩。
差すような眩しい日差し。絵の具で描いたような青い空と白い雲。
ほんの数分でたどり着く世界にありったけの夢や希望や楽しみが詰め込まれていた特別な夏の思い出。

名前と顔と家しか知らない。
小さい頃 私にもそんな友達がいたことを思い出した。
毎日公園に行くと出会えるあの子。あの子の好きな食べ物もお気に入りのおもちゃも教室での親友も知らない。だけど知らない子と知らない遊びをすることへの特別感とスリルに胸が高鳴り、大人には秘密の時間を大切に共有していた。
あの一夏の夏休み、服も髪も汗でぐっしょり濡らしながらほんの1ブロック程度の散歩を大冒険だと一緒に楽しんでくれたあの子は今頃どこで誰と何をして過ごしているのだろう。

世界有数の観光地らしい非日常と頭を抱えたくなるリアルな現実が折り合う街中の風景や建造物。
穴場だらけなのに地元民は誰も見にこない観光客の為に上がる花火。
毎日飽きずに騒音を響かせる裕福なツアーリストを乗せる観光ヘリ。
ほんの少しの嘘と愛らしさという武器を駆使して手に入れる「無料の」アイスクリーム。

どれもこれも子供にとっては最高の宝物。まさに楽園。
塀の外か中かなんて関係無い。ムーニー達にとって大好きなみんなと好きなことをして楽しく暮らせるあのプロジェクト(その日暮らしの安モーテル)こそがマジックキングダムそのものだった。
だけど問題山積みのプロジェクトで過ぎ行く楽園のような日々はいつもと同じ夏のようで少し違う。
教養も仕事も頼れるあても貯金も人望もまるでない母親ヘイリーに課せられた深刻な生活難の実態、そしてそこから崩れゆくキングダムでの平穏な日々。

警察に目をつけられようとも他人から後ろ指をさされようともヘイリーを心から愛し、自分たちの生活を脅かすものへの不安も悪意も悔恨も何一つ抱くことのない汚れなき純真。だけどきっとこの夏以来ムーニーは新しい友達を作ることをやめてしまったのではないかと思う。
劇中最後にジャンシーと塀の中に駆け込んだことで今まで見ていた世界が「マジックキングダム」ではなかったと気づいてしまったのではと。本当のマジックキングダムは多幸感に溢れ、恐怖や不安のような余計な荷物は何も背負わなくていい。そんな場所こそがこれからの彼女たちが目指し求め生きて行くべき場所なのだと。
だから見ず知らずの人にいたずらを仕掛け、大人を困らせ、人を欺いてきたことがどれだけ悪いことで生きる為に必要なことだったのか。彼女たちはこの夏を界に今まで見えなかった様々なものを理解し、羞恥心や背徳感や自身の境遇に想いを馳せながら生きて行く。そんな気がしてならなかった。

「この木が好きなの。倒れてもまだ育っているところが。」

この言葉が、呼吸を忘れてしまいそうな程好きだ。
わずか6歳のムーニーは、倒木が死に値することだと知っている。そして一度苦難に陥ったあとまた奮起し生き長らえることがどれだけすごいことなのかを理解している。

彼女はきっとこれからたくさんの現実を知る。母ヘイリーに貼られたレッテルや社会の冷酷さや怖さをきっとたくさん知ってしまう。
だけど倒れてもまだ育ち続ける木を好きになれるムーニーならきっと大丈夫。苦労のある人生もプロジェクトと称される境遇もきっときっと大切に愛し乗り越えていける。

先のことはわからない。
だけどポップでハッピーな描写とは裏腹に深く重いストーリーの中でさえ彼女たちの笑顔は輝いていた。
花火のプレゼントに虹のサプライズ。ホイップ追加のワッフルにお気に入りのスポンジボブ。特別で大切な思い出と自分たちだけの素敵なキングダムがあったおかげで。

☺︎

チャーミングだけど悪ガキで少しおませな可愛い可愛いムーニーの視点に合わせて撮られた映像はオールiphoneとは思えない美しさ。
それでいて6歳の少女の眼に映る世界観を尊重している為にたまに見切れる名役者の顔。
まるでドキュメンタリーのようなシーン展開とそのまま切り取ってきたかのようなフロリダの美しさは圧巻だ。
そしてこの映画の中には誰一人として悪役がいないところもとても好き。リアルな世界は生きづらいけれどみんな生きるのに必死なだけで本物の悪者なんていないのかもしれない。
強いて言うなら全員が吾が身を案じている中で広く温かい愛情で家族の絆さながらの良心を働かせているウィリム・デフォーがいてくれたおかげで感情移入しながら作品の重さに潰される事なく最後まで拝見することができた。ほぼド素人の子供たちとの撮影は本当に大変だったと笑って話すインタビューを目にしたが、まさにウィリム・デフォーのアカデミー賞ノミネートに大納得の一作だった。
nnn1909

nnn1909の感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

なんだ真夏の魔法って。

「このシーン意味ある?」という問いを微塵も恐れないくらい何にも繋がらない日常の子供シーンが多かった。でもモーテルでの暮らしだけど子供にとって毎日が冒険のようで、幸せに暮らしていることがすごく伝わる。
子供たちの楽しい冒険の日常、母やオーナーの愛情を描きまくって蓄積して、でも世界恐慌にやられてしまった母はどうしようもなく体を売り、友達も失い、ただ母娘が一緒にいるということすら叶わなくなってしまう。
プロットラインは火事→友達無くす→値上げ→売春→児相くらいで、本当にひたすら日常でリアクションを伴わないアクションの方が多かった。チャレンジングだけど、子供が可愛い事もあって飽きなかった。

あれは子供はある程度自由に遊ばせたんだろうか、あまりに演技が自然でそれが凄かった。ちゃんとセリフ決まってたら天才子役どころじゃない。
最後の泣くシーンもすごい。

ディズニーランドにはいるくだり、よくわからんかった。逃げたかったのか?でも夢の国に行かなくても子供達は日常こそ大事だったんじゃないか
so

soの感想・評価

3.0
とにかく支配人のおじさんがいい人すぎた。お母さんがどう考えても最悪なんだけどムーニーにとってはいい母親のようでなんともいえない。花火をプレゼントして虹をサプライズして夢の国へ向かうなんて感性がすごいと思った。
前レビュー「しあわせの絵の具」が今年一番泣いた映画なら、この「フロリダ・プロジェクト」は鑑賞から1週間ほど経った今でもヘンリー、ムーニーちゃん親子を思い出し泣けてくるという、総涙量でいえば断然今年イチの映画です。今日も仕事しながらフロリダのジャケを思い出しウルウルきてしまった。マスクに助けられた。
今年鑑賞した映画のベストは「タンジェリン」。生涯ベスト級のお気に入りなのですが、フロリダはそのタンジェリンと同監督であるショーン・ベイカー監督の
長編三作品目。
(タンジェリンが)たまたま良かったってこともあるしなぁと敢えて期待をせずに鑑賞しましたが、
はぁ、監督、もう無理、好き過ぎる、一生ついてゆく!!恐れ入った🙇

ショーン・ベイカー監督は、社会の片隅で生きる人々の日常を登場人物たちに優しく寄り添いながら、マイノリティの人々にカメラを向けるという作品スタイルを徹底して貫いており、「フロリダ・プロジェクト」は正に監督の真骨頂と言えます。
ショーン・ベイカー監督のどこに惹かれお慕い申すかといいますと、ムービーウォッチメン「フロリダ・プロジェクト」回にて宇多丸師匠のショーン・ベイカー監督評でのご発言をお借りしまして、
それは、
"人の生き方をジャッジしない姿勢"
にあります。
ショーン・ベイカー監督は、「タンジェリン」「フロリダ・プロジェクト」共に、自分の知らない世界だからこそ撮りたいと思ったと話しています。知らないから知らないではなく、知らないから知ろうとするスタンスは、誰の味方でもなく誰の敵でもないという、あくまで中立な視点で誰も傷つかない優しい作品となって表れていると思います。

作品に関しては、ヘンリーという母親について賛否両論あります。私も序盤はヘンリーの擁護しようのないキャラクターに最後までついていけるか不安になったし(もしかしたらつまらんかも💦という不安)、ムーニーちゃんもザ・ヤンキーの娘!って感じで、やはり、(この映画)大丈夫か?と石橋を叩いて観る状態。
それが、それがですよ、総涙量今年イチてどーゆーこと??😵
鑑賞中、気付けばヘンリーもムーニーちゃんもすっかり自分の中に入ってきてる😵決して褒められた母親ではないけれど、ムーニーちゃんにとっては最高の母親!子供を育てる上で一番大事なのは子供にとってどういう存在でいられてるかってことだと思うのだけど、そういう意味でヘンリーはどんな母親よりも最高。ちゃんと母性が備わってる。私、今作観てからヘンリーをお手本にしてるとこあります。押し付けない、おおらかな育児(ここでの"おおらか"は例えばどしゃ降りの雨の下でも全然一緒にはしゃぐというシーンとか、のおおらかです)。
育児教材にもなるなんて!まぁそれは極端ですが、天真爛漫なムーニーちゃんから感じ取るべきものは沢山あります。
(だいぶ解釈の違いが発生すると思いますが。)
恐るべし!ショーン・ベイカー監督!
余談ですが、私にもムーニーちゃんと同じ年頃の娘がいるもので、鑑賞は色々と胸が締め付けられる思いが伴います。しみじみ…😢

鑑賞後、再び宇多丸師匠の解説とたまふ
る町山さん解説をヘビロテ聴いたり、他サイトにて映画フロリダ情報を得ていくにつれ、明るい映像の裏側にアメリカが抱える問題の存在を知ることができた。
又、役者の明るくナチュラル過ぎる演技も、実は基礎から徹底的に演技指導を行った上でのプラスのアドリブであることや(「タンジェリン」に続き今作も演技は初めてという若手俳優陣がつらなる)、計算し尽くされた用意周到な脚本、撮影スタイルであることも分かり(ベイカー様やから分かってはいたけども)、二重にも三重にも驚かされる事態。
ちなみに、ベイカー監督は今作の撮影にあたり、事前に是枝監督の「誰も知らない」を参考にしたようです。作品が放つ雰囲気は全然違うよ。

さて、今作、
KOOL & THE GANGの"Celebratio"が流れる軽快なオープニング✨
"Celebration"は大好きなカイリー・ミノーグのカバーの方で聴き馴染みがあり、映画「シュガー・ラッシュ」の挿入歌としても流れるため、子供も馴染みのある曲。
作中、重要なシーンのひとつに〈お風呂〉が上げられるのですが、最近フロリダ影響で、この"Celebration"を流しながら子供たちとお風呂に入っています。
めっちゃ楽しいです!
めっちゃ笑顔になります!
めっちゃ裸Celebration!💃

オススメっていうより、大事にしたい映画としてオススメです‼️
machaki

machakiの感想・評価

-
是枝監督か?最後にはそう思ってしまうほどの「家族」。
オーナーにしてみればあそこら辺のママたちを娘だと思っていてもいいだろうし、彼女らも。
ディズニー脇のモーテルで繰り広げられるマイノリティ家族物語。万引き家族の時もそうだったけど、勝手に幸せを決めんなよって思っちゃう自分がいて、でも、彼女たちも犯罪を犯しながらの生活だから許すべきでもなくて、ちびっこ達が大人になったらどうなっちゃうんだろう。もう何が正解なのかわからない。
tom

tomの感想・評価

4.1
ずっと観たかったやつ。
この映画のどこを観るかは人それぞれ。

僕は好きでした〜。
撮り方うまひ。
最近お洒落に見せたい映画はこういう撮り方多いよね。
明らかに広角レンズで撮りましたみたいなシーンが多くて、嫌いな人は嫌いかも?

ムーニーかわいすぎ
おおや

おおやの感想・評価

3.5
こんなにカラフルなの?フロリダ!
ひたすら画がカラフルだけど、内容は重くて、真っ暗無音のエンドロールでずーんときた、、、

最初こんな子ども嫌だなあ😐って思ってたけど、最後のムーニーの泣いてるところでガラッと印象変わった。最後の最後で子どもらしいとこ見れた。
すごいなあこの子。

ボビーが鳥に話しかけてるシーンにほっこり
見終わった後の余韻がハンパないです。

はたから見れば、劣悪な環境で育っている子供達なのですが、子供でしか味わえない夏の楽しさを、体全体で思いっきり感じているのが、めちゃくちゃ伝わってきました。自分も子供の頃、こんな感じだったなぁって。
(ムーニー達みたいにあんなに悪ガキではありませんでしたが…😅💦)

ただ子供達が楽しそうであればあるほど、大人の悲惨な現実が切実に浮き上がってきます。
モーテルの管理人(ウィリム・デフォー)が、そんな現実から少しでも子供達を守ろうと、現実的な処理を淡々とこなしていて、もっと彼みたいな人が周りにいてくれたら…と思わざるを得ませんでした。

ムーニーの母親は無教養で酷い母親ではあるけれど、決して愛情が無いわけでは無い。

ただ負のスパイラルの中で、上手く生きていく術がわからないだけなのでしょう。

そのスパイラルを断ち切れる環境を作っていかなければいけないのだと、この作品を見て強く思いました。
アメリカンドリームの裏側を見た感じです
これをiPhoneで撮られたとは思えないクオリティー
Itsuki

Itsukiの感想・評価

4.0

色鮮やかでファンタジックな色彩とは裏腹に、内容は凄く切り込んだもの。

知識も教養もなければ職もない、社会的弱者の母。そんな彼女の元で育ち、無邪気に笑う娘。親子の不始末を尻拭いする、安モーテルの支配人。暖かく、切なく、そして哀れな世の中の現実。生きるって難しいよね。

おかぁさんもたしかにダメなんだけど。子がダメなのは親のせい、なんだけど。結局それって無限ループで、泥沼でしかない。その親の親世代が悪くて、そのまた親世代が…。何かしら手を差し伸べられないと、今の世の中は底辺から這い上がることすらできない。キラキラした子どもたちの笑顔とは裏腹に、お母さんみたいに大人になりきれないと言うネガティブな影。どうも切なく思えてしまうけど、ラストのあの子の涙が彼女を強くすると信じたいですね。

終わり方は大好き。言ってしまえば話の中では何一つ好転せず終わるわけだけど、希望だったり不安を払拭するにはなによりも夢を見ることなんだなぁと。アメリカのある偉大な男が与えた夢は数知れず。