ミヤザキタケル

ヴェンジェンスのミヤザキタケルのレビュー・感想・評価

ヴェンジェンス(2017年製作の映画)
2.8
ヴェンジェンス
9/30公開ですが 一足早くレビュー。

アメリカ ナイアガラフォールズ市
州内最悪の治安を誇るその町では、ドラッグの密売やレイプ事件が後を絶たない。
元軍人の寡黙な刑事 ジョン(ニコラス・ケイジ)は、勇士勲章を授与する程の正義の男。
ある日バーで出会ったシングルマザー ティーナ(アンナ・ハッチソン)が娘の目の前で強姦され、犯人達が逮捕されるも敏腕弁護士を雇い無罪判決を勝ち取ってしまう。
法の名の下に果たされなかった正義の在処を求め、ジョンは独自に行動を開始するのであった。
理不尽に晒される者達の葛藤を通し、正義の尊さを描いた作品だ。

タイトル あらすじ ポスター ニコラス・ケイジ
これらの要素からどう考えてもB級映画であると、気軽に楽しめる作品だと思っていた
大まかには合っていたが、若干の誤差があった

ニコラス・ケイジが演じる以上、ジョンは不可能を可能に変えてしまうプロフェッショナルな男だと思っていたが少し違う
プロフェッショナルとしての腕は確かに持っているが、法によって 正義によって制御されている
無闇矢鱈にその力を乱用しない
人格者であるが故に、不可能を可能にする男の本領を発揮できない
言わば、あなたやぼくが生きるこの現実社会と同じ制約の中を生きていた

大誤算であったのは、話の焦点がティーナ親子に当たり過ぎていてニコラス・ケイジを堪能し切れないということ
ドラマとしては全然成立しているのだが、この作品を観ようと思う9割の人はニコラス・ケイジを求めているはず
彼が放つ引力に引き寄せられた者達のはず
要所要所でしっかり役目を果たしてくれるから文句はないのだが、葛藤するジョンの姿をもっと見せて欲しい。

生きていれば理不尽なことは山程ある
耐えられる範囲の小さなものから、耐え難い痛みが伴う大きなものまで様々
ティーナ親子が味わう屈辱はその痛みの極み
理不尽の塊である

正義が機能しないのであれば、自分で何とかするしか道はない
罵られたら罵り返せばいい
殴られたら殴り返せばいい
蹴られたら蹴り返せばいい
しかし、それができない人だっている
抗おうにも抗えない時がある
かと言って、胸の内に混沌とした想いを留まらせておくのも地獄
一体どうしたらいいのだろう

どちらかが折れなければ
どちらかが改心しなければ
どちらかが討ち滅ぼされなければ
終わりは無い。

邦題は「復讐」を意味する『ヴェンジェンス』であるが、原題は『Vengeance: A Love Story』である
今作における復讐には「愛」が宿っている
ティーナ親子に対する愛とも取れるが、意図しているのはそこではない
正義に対する愛が引き起こした復讐なのだとぼくは思う
正義を信じ 正義のために生きてきた男は、法が正義を裏切る瞬間を目撃する
一見ティーナ親子のために行動しているかのようで、その実 己が信ずる正義のためにジョンは行動を起こしていた

が、悪が蔓延る町で長年刑事としてやってきたのならもっとエグい事件があったと思う
数え切れぬ程の痛みや哀しみを目にしてきたはず
今回のみ行動に打って出た明確な理由が見えてこない
境界線を越えるか否かの揺らぎも、断固たる決意を固める描写も不足気味。

正義のために正義を捨てた報いも受けず、悪を野放しにした元凶も打ち砕かぬまま終わってしまう
堕ちるのならばとことんまで堕ちる
堕ちぬのならばとことんまでもがく
引き返すのであれば自分のしでかしたことを清算する
何かしらの答えを示して欲しかった

理不尽を理不尽で打ち砕くのは結構
それはそれで爽快
でも、理不尽に理不尽で対抗してもその場凌ぎにしかならない
その理不尽の余波を受けた者が再び怒りや哀しみを抱いてしまう
第2 第3の理不尽を生む要因となってしまう
やったやられたの繰り返しでは、永遠に平和は訪れない

それこそが人間だと言えばおしまいだが、せめて映画においては希望を 可能性を魅せて欲しい
分かり合えぬ者を全て討ち亡ぼす以外の道を感じさせて欲しい。

誰もがジョンのようにはなれない
理不尽に理不尽で抗うのには、それ相応の力と覚悟が要る
あなたやぼくが理不尽に晒された時の助けにはなってくれない
現実社会において糧となるモノまでは宿っていなかった。

何だかんだ言いながらも楽しく観ていられるのは、ニコラス・ケイジの存在感あってこそ
間違いなくB級映画ではあるけれど、一つ飛び抜けたモノが感じられない作品でした。

青春★★
恋 ★
エロ★
サスペンス★★★
ファンタジー★★
総合評価:C