リラリオ

祝福~オラとニコデムの家~のリラリオのレビュー・感想・評価

4.8
「親に見放され、帰る家を探している現実的なヘンゼルとグレーテルの物語」
数多くのドキュメンタリー映画賞を受賞した作品。

ワルシャワ郊外の街、セロツク。
アル中の父と自閉症の13歳の弟ニコデムと暮らしている14歳のオラ。
酒に溺れ、平気で嘘をつくどうしようもねぇ父と、家を出て、男と暮らすマジ身勝手な母。
そんなクソ親に振り回されるオラ。

厳しい現実…
だが、オラは心のどこかで夢見ている。
「ニコデムの初聖体式が成功すればもう一度家族がひとつになれるんじゃね?」

アホ親のせいで14歳の少女にかかる負担パない→家事をこなし、ニコデムの面倒を見るオラ→なかなか帰って来ない父に電話し、説教→「どうせパブにいんだろ!いい加減にしろ!ふざけてんのか?」→ニコデムに飯を食わせる→宗教の勉強を教える→やる気ねぇニコデムにイライラ→「おめぇ、こんなんじゃ聖体受けられねぇぞ!」→勉強しねぇと罰を与えると脅す→「私って怖い?意地悪?」→「うん」→「神父はその10倍怖ぇぞ!10倍、想像できる?もう悪魔だよ!」→「…」怯えるニコデム→神父との面接、付き添うオラ→脅しの効果か…神父の質問にちゃんと答えるニコデム→面接は無事成功する。

場面は変わり…ダンスパーティー(急すぎぃ 笑)→クラブ化する教室→ノリノリのオラ→キモダンスを披露する男子→ダンスバトル→ご機嫌で帰宅→が、荒れた部屋に呆然→「ナニコレ…豚小屋じゃん…」→テレビがない→「あれ?テレビは?」→「知らない男が持って行った…」→「!?」→そんな中、父は酔いつぶれ、爆睡

7つの大罪に納得いかねぇニコデム→「大食いは罪でなく徳だ!」→神父「沢山食べることは罪にあたる。徳とは信仰・希望・愛だよ」→「愛は罪だ!だってキスするじゃん!キスは悪だ!」ニコデムにとってキスは汚らわしいものらしい→聖体式の自主練→アル中親父のコーディネート→母に連絡→「聖体式来るっしょ?そのあと食事も…」→「都合つくか分かんねぇ…」素っ気ねぇ母。

そして、ニコデムの初聖体式…

久しぶりに集まった家族→嬉しそうなオラ→気まずそうな父と母→通常運転のニコデム→無事聖体式終わる→母親の出戻り騒動勃発→父「無理じゃね?戻って来ても、またすぐ出ていくぞ…」→母のことで喧嘩をしまくるオラと父→母、赤ちゃんを連れ、帰ってくる→喜ぶオラ→赤ちゃんの面倒を見る→ベビーベッド組み立てパニック→なんとか完成→父と一緒に寝たいニコデムに父は「今日はダメだ!パパはママと寝る!」→赤ちゃんの夜泣き→一変する生活→母の携帯に鬼電→様子がおかしい母、せっかく組み立てたベビーベッドを分解→「なぜ?」→「う…気に入らないから…」→「まさか…」
こうして嵐のように去っていく母。
「子供にはわからない大人の問題」
「予想通りだ…」
そして、元の生活に戻り…

自分勝手な大人たちに振り回され、大人の責任を背負わされる14歳の少女。
少女は、祈りを捧げる。
「いつかまたきっと…」
だが、その祈りは神に届かず…。
叶わぬ願い
かすかな希望さえも打ち砕く残酷な現実…
親父もクソだが…母親のクソっぷりがマジやべぇ…
ドラマのようなドキュメンタリー、素晴らしい作品でした。
オラとニコデムに祝福あれ!!
リラリオ

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