まりん

ポルトのまりんのネタバレレビュー・内容・結末

ポルト(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

私はAnton・Yelchinが大好きでした。来日する度に会いに行ったし。
なので、客観的に見れているかどうか分からないのです。
ただ、Antonへの愛を感じる映画でした。凄く凄く。

愛する人を勝ち取ったはずなのに、結婚に踏み込めない妙齢の女性と、生きる意味を見いだせない一人ぼっちの青年。

シャイな彼が彼女を見つけ、目を放せなくなった。
そんな彼の視線に気が付き、余裕を見せて受け入れた彼女。

彼らの夜は完璧だったのか‥?全く知らずに惹かれあったからこそ、正直に求め合えたのかな?
兎に角、忘れられない夜になった。美しい思い出になった。
何も無かったジェイクにはたった一つの大切な思い出。
だけど、マティはその日に心を残しながら、前に進んで行く。
女の方が冷静なんだろうけど、心を残して別の人と上手くやって行くのは難しいわよね。
なるべくして・・・って行く末。

ああいう、大人の余裕?見せつけて、怒らないでにやにや笑ってのらりくらりと曖昧にする男は嫌いだ。
大事に思われていると思えない。
物足りなくなればなるほど、あの夜を思い出しただろうな。

交差して別れた二人の行く道が、それぞれあまり幸せに見えなくて、やつれ、彷徨うジェイクは本当に、悲しい。

だけど、あの夜が有る。
心の大切な所にしまってある、素敵な思い出。

永遠に止まったような時間。見つめ合う。2人寝転がって向かい合ったままずっとずっと永遠に。

とてもポエミーで美しい映画です。

Antonはそんな瞬間有ったかな。車に押しつぶされる短くて長い数分間、何を思ったかな。
出生から亡くなるまでの波乱に満ちた27年間。沢山の大切な思い出が、彼の最期を彩ってくれて居たら良いな。

見つめあう二人のラストを見ながら、初めてAntonに会った時を思い出していた。
初来日で、車を降りて、目を真ん丸にして真直ぐにこっちに歩いてきた彼を思い出した。

コレを持って、こっちに来て、言われるままに素直に従って居た彼は初々しくて、これから沢山の作品に出演し、素晴らしい俳優になって行くだろうと思った。

Antonの訃報を聞いてから数か月の間の私は、彼女とのあの夜を思い彷徨う病んだジェイクみたいだったかもしれないな。
まりん

まりん